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ニ節 八部 ページ35

「自分は裏切るなんてことはしない。約束しよう。
 おっと、自己紹介がまだだったね。自分はナオだ。こっちの黒いのが黒龍、こっちの金色が金龍。どっちも神龍だ。自分が名を授けた。自分は最初に言った通り神龍を探す旅をしている。彼等はその仲間だ。そして今から提案するのは人間と神龍としてのじゃない、自分と君の話だ」


 自分と共に旅をしないか


 そう言えば彼は大きく目を見開いて動揺を見せる。ナオは言葉を続けた。
 自分は君を仲間に引き入れたい。けれど君は裏切りを恐れそれを拒否するんだろう?だから仮契約をするんだ。契約は【信頼】を重要とする。お互いがお互いを信用・信頼していなければ契約は完全ではない。その仮契約中で共に旅をし、自分が信用に値する人物であるか、君が見極めるんだ。
 君が信用に値する人物と思えば正式に契約し直せばいい。思えなければ契約は切られもう二度と関わることはしないでいよう。

「どう?悪い話ではないとは思うのだけれど」

 男は伸ばされたナオの手を見つめる。数分して男がした選択は__

「わかった、話を呑もう」
「交渉成立」

 ナオの手を取った。
 男は武器を終い、お互い正面に向き直す。
 仮契約とは言え契約は契約。主人となる者に誓を立てなければならない。

「えっと、誓えばいいんだよな」
「まぁそだね、なんでもいいよ。誓いたいと思ったものを誓えば」
「…なら、お前を信じるに値する者であった暁には俺は絶対の忠誠…つまりは裏切りは勿論お前を信じ、護るということと共に俺の一生を捧げよう」

 花草の中、男は武器を自身の前に起きナオの前で正座し、真っ直ぐ目を見ながら言う。
 その真っ直ぐな彼にナオは固苦しいヤツが来たと笑みを零しながら額に手を掲げ唱える。


「汝に名を授ける_____雌黄(しおう)の龍、橙龍(トウリュウ)


 ナオはそう言うと、彼は本来の姿を現す。

【雌黄の龍】

 黄色のようにも見えるそれは向日葵のように明るく、毛が光で太陽のようにキラキラと輝いていた。

 天に昇ればふわりと龍化が解け、ドサッと花草の上に倒れた。

「龍化が解けると意識失う系か」
「……はぁ、行くぞ」

 黒龍が意識を失っている橙龍の後ろ襟を掴んだと思ったら金龍に投げつけた。
 再び駄々をこねる金龍_____結局。

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作者名:宇宙ノ彼方 | 作成日時:2018年12月26日 11時

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