二節 六部 ページ33
目の前に姿を現したのはたった一枚の依頼書。あるとも思ってなかったナオは目を見開くが運が良かったとしてその紙を役場の受付人に渡した。
「すぐに終われる……かな？」
「まぁ行きますか」
「れっつごー☆」
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「ね〜え〜、なんで僕は乗っちゃダメなの〜？」
「乗っていいのは主のみだ」「金龍は龍になれるだろ」
空を飛ぶ黒龍、の上に乗るナオ。横に並行して飛ぶ金龍はブチブチ文句を呟いていた。
「主様〜僕にのってよぉ〜」
「嫌」
「うぅ〜」
何があってこうなっているのかと言うと、依頼書には＿＿
「【忘れもの探し：報酬？？？】どゆこと、えっと場所は東南区域、
「記憶の花園？なんか素敵だねぇ」
「ロマンチストか何かか」
「まぁ…行けばわかる」
ということがあり、早々に準備を終わらせ東南区域目指しナオは黒龍に乗ると、金龍がずるいとただひたすらに駄々をこねている感じだ。
「ほれほれ、もう着くから」
「主様ぁ〜!!」
ふわと風を少し起こしながら地面に降り立ち、ナオを抱えながら人に戻る。
「あんがと」
降り立ったところは暖かな色花で、風で揺れる可愛らしい花々はそれはそれは美しかった。
「なんか、明るいねぇ」
「暖色系が多いんだろ」
ナオは奥に人を見つけた。オレンジ色の髪をした男だった。男はただ花々の中、棒立ちで日を浴びどこか黄昏れていた。
ナオはその男にゆっくり近付くと男もナオらの存在に気付き、目を見開く。
「お前、俺が見えるんか」
「あんた誰？」
「…わからん」
「もしかして龍？」
顔を伏せ知らないという男にナオはもしかしてとそう聞くと、男はこっちに再び顔を向け、少し後退りして警戒態勢に入った。
「お前は誰だ」
「自分は九頭の龍を探している旅人」
そう言っても警戒を解くどころか、もっと睨んでくる男にナオはどうすることも出来ず、取り敢えず相手は龍であり、自覚もしている。ならばと得する話を持ちかけた。
「自分やったら名前を授けられる」
「お前みたいな小娘がそんな強大な力持ってるわけねぇだろ」
男は何処かひ弱な見た目と違い、随分と警戒心が強いらしい。話を聞く気は無いと言うように言葉を被せられ、睨みつけられる。腰にある刀に添えられた手に力が入るのも視認した。
どうしたものかと考えていると金龍が横から顔を出す。
「主様の言ってることはほんとだよ〜」
「……まぁ確かに俺らが証拠なんだが」
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2018年12月26日 11時
