夢語神龍壱【名前固定】 (ページ27)

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一節　二十七部ページ27

二人が刃を交え戦ってる中、ナオは「やっぱあいつドＭか何かなんかな」とかぼんやりと二人の行く末を眺めながら呟いてたりしていた。

「ドＭの僕は嫌い？」
「っ!?!?」

　後ろからの声に驚き、振り向けば戦っていた筈の彼がいつの間にか隣にいた。
　黒龍がいた方を向けば少年と戦っている二人がいる。
　突然のことに思考が追いつかないナオは再び後ろにいる少年を見つめた。

「やっぱお前何者」
「僕はただ速くて仕掛け技が得意な【ナナシ】だよ」

　語尾にハートがつく感じに可愛らしく言う少年に、ナオは、彼のそのナオに向けるものが【恋心】であり、それでいて彼は【紳士】であることを信じて彼の後ろ襟を左手で掴み、少年の足元を払って【後ろ】に倒れる。

「なっ、何して」

　突然の事、少年はナオの信じていた通りナオが怪我しないようにナオの後頭部に手を入れ、左手でナオの身体を支え、ぶつけてしまわない様、ナオが怪我をしてしまわない様守った。
　その瞬間にナオは右手で逆手に持ったナイフを首に当てる。

「！」
「そろそろ決着つけんと、ね？」
「…こりゃ僕の負けだねぇ」

　身動きが取れないこの状況に、少年は苦笑いを零した。

「どうする？」

　その問いに少年は震える声で切なく懇願する。

「僕はまだ死にたくないな」

　その声に、姿にナオもまた少し切なくなった。

「…自分は龍を探している。クロもその一人で、クロは自分と誓いを立てた＿＿＿＿君はどうする？」

　じっと蒼碧(エメラルドグリーン)に輝く瞳が少年を射抜く。その奥まで見られている感覚に嘘はつけないと、少年は心の内を口にする。

「僕は君といたい、ただ、君といたいの」

　小さな子供のような彼。
　切なく願うその姿に、その微かに震える体に、ナオはぎゅっと優しく抱き締める。
　二人は立ち上がると、少年はナオの前に跪きナオの左手をとって甲にキスをする。

「僕は僕の全てを貴女に捧げます。貴女に仕え、護り、尽くしましょう」

「汝に名を授ける＿＿＿＿＿黄金(こがね)の龍、金龍(キンリュウ)」

　額の前で手を掲げ、ナオはそう言うと少年は本来の姿を現す。

【黄金の龍】

　己の速さ(スピード)に仕掛け技を武器とする神々しくある龍(ドラゴン)。

「………綺麗」

　ナオは地面に寝転がったまま、上に被さる様にいる龍の口部分をそっと優しく抱きしめた。