一節 二十六部 ページ26
「そのマント万能だねぇ、斬れないとは」
「いやぁ危なかったよ、その刀、普通じゃないんだねぇ」
初めて見たから知らなかったや。なんて呟く少年に本当にストーカーなんだと、二人の会話を何となく聞いていたナオは苦笑いを零す。
「まぁね、かわりに面倒事も起きるけど」
すると、上空でまた風が動きだす。
「あぁ、来ちゃったねぇ」
三人は上を見上げると黒煙がうじゃうじゃと出て来ていた。
「悪持つものが多すぎな〜？」
「どうする」
「ふっふっふ、その為の昨日！」
黒龍の疑問に嬉々としてナオはポケットからとある石を取り出した。
「それは？」
「石」
「そうじゃなくて」
「浄化石だね」
「そうそう」
少年の答えにナオはそれだと指を指す。
「昨日の廃坑で見つけたんだ。洞穴で黒煙みてからぜってー役立つってね！」
「それただのぐうぜ「せいっ」はぁ…」
ナオは黒龍の言葉を遮るようにそれを上に掲げと黒煙が一気にその石目掛け飛んでくる。
何も聞いていない黒龍は驚きナオを呼ぶ。
「主！」
「だぁいじょぶだいじょぶ」
黒煙がナオが掲げる石に吸収され、白くあった浄化石は黒く濁っていく。ナオはその石をそっと地面に置き、自分の刀を石に添えると思いっきり突き刺しその石を真っ二つに割った。
歪に石が割れる音が鳴り、黒煙が舞い周囲を黒くする。
「ゴホッゴホ……主」
「お前……主、主ってそれしか言ってないぞ」
「いや、予想外なことを連発するからだろ」
「てへっ☆」
「…」
「そんな冷たくしないでよ」
ナオと黒龍でいつも通りのノリでそんな会話をしていると、黙っていた少年が行動に移る。
「のわっ！？」
至近距離でナイフを投げられ、ナオはギリギリで避けたが髪が数本切れてしまった。
「お前っ」
「待て待てクロ、待て」
飛び出しそうになった黒龍の前に手を出しストップをかける。
「従順な犬は便利だねぇ」
「ま、道具じゃないですけどね」
その辺気をつけて、と笑う少年に笑いかけながら睨む。
「あぁ、僕のお姫様は少々怒りっぽいのだね。そんな所もステキだよ、可愛い♡」
「よしぶっ殺ー♪」
手を頬にやりうっとりと見るその目にはハートが見えたような気がして……
ナオはちょっと寒気を感じつつ行けーと少年を指差しながら黒龍に命じると黒龍は黒刀を覚醒させ一気に詰めていく。
「主に手ェ出したんだ、許さねぇ」
「ははっ……なら殺してみなよ♡」
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2018年12月26日 11時
