一節 二十五部 ページ25
「お前、龍だろ」
その質問は予想外だったのか、でも顔には出さず出来るだけにこやかに少年は言った。
「それもいつから？」
「いつからだろうな、少なからずこの城に来た時には知っている」
黒龍は少年には目を向けず、刀を回して糸を切りながら答える。
わざとらしく肩を上げて少年は怖がった。
「お前の方が怖ぇわ」
「どうして？」
「主のストーカー、お前だろ」
嫌悪感丸出しに少年を見る黒龍に少年はムッとしながら否定する。
「僕ストーカーなんてしてないよ」
「本人は自覚なしだからな」
「ほんとだよ！僕のお姫様に何かあっちゃ困るからね、陰ながら見守っていただけ」
「それをストーカーっ
「え〜」
何が「え〜」だと黒龍は心の中で文句を口にしながら質問を続ける。
「因みにいつから」
「ん〜と、地上に降りてちょっとしてから…？」
「犯罪に手染めんの早すぎなお前」
黒龍の中で【ヤバい奴】認定すると、話は終わったと言うように少年は地に足をつける。
「ま、戦いはまだ終わってないよ」
「そーだな」
少年がまたニコリと気味悪いと感じる笑顔を見せると同時に黒龍は黒刀を構え直す。少年は未だポケットに手を突っ込んだまま。それについても次いでとして黒龍は問いた。
「あと、武器持ってねぇっての嘘だろ」
「ご名答♡」
ポケットから無数のナイフを出し黒龍に勢いよく投げる。黒龍は刀でナイフを弾くが如何せん量が多い。これ以上出されると防ぎきれない。黒龍は不機嫌に舌打ちをかました。
その瞬間
「こんにゃろぉっ！！」「はっ」「えっ？」
見慣れたクリーム色のワンピが黒龍と少年の間ではためく。
「やっぱ指くわえてみてるとか出来ねぇわ」
ナオは二人の間に入って月白に輝く綺麗な刀を振る。
その姿に少年は口に手を当て見惚れ、頬を赤く染めた。
「ははっ♪…すっごいなぁ♡僕のお姫様は〜」
「ドＭか何か知らんが、戦おうじゃん？」
ナオは何処かイキイキとしていて、未だ恋する乙女のようにナオに蕩けた顔を向ける少年に刀を振るう。振るったことで風は刃となり空を斬る。
「守ったか」
分かっていたような声色。少年は自らのマントを身にくるみ守っていた。
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2018年12月26日 11時
