【赤司征十郎】私はたらしドS赤司君が嫌いです。2【黒子のバスケ】

意地悪が77こ ページ30

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アリスside


これは、一種の賭けだ。
A先輩の気持ちを、赤司先輩の方に向けさせるための。



私がこの帝光に転校してきた理由は、親の都合。
良くある転校理由。
けれどバスケ部に入部した訳は、ちょっと、いやかなり勝手が違った。



赤司先輩に、頼まれたのだ。
Aを落とす手伝いをして欲しいと。
赤司先輩曰く、A先輩はかなりの鈍感で思った以上に難攻不落らしい。



それはA先輩と少し会話しただけで、私にもすぐに分かる程だった。
私は今の状況を全て赤司先輩から聞いている。
だから、赤司先輩が誰から見ても分かる程の猛烈アピールをA先輩にしているというのに、当の本人は冗談だと全く相手にしてくれないのも知っていた。



しかもA先輩は、予想通り私の事を全く覚えていないみたいだし。
いや、むしろ今はその方が都合が良いかもしれないか。



私とA先輩は、小学生の時に半年だけ友達だった。
幼い頃から転校が多く、中々仲の良い友達が出来ず少し不貞腐れていた私に出来た最初の友達。
それが当時近所に住んでいたA先輩で。



赤司先輩とも、その時に知り合った。



『征くんっ、私女の子の友達出来たよ！』

「……良かったね」

「……あ、私西行アリス……です……Aちゃん、この子は？」

『征くんだよっ、ちょっと意地悪だけど本当は優しいんだよ〜』

「よ、よろしく……」

「……宜しく」



初めて会話したあの日。
赤司先輩の第一印象は、冷たい。
A先輩の友達だからという理由で頑張って赤司先輩とも友達になろうとしていたけど、正直仲良く出来るか不安だった。



だって赤司先輩は、普段はあまり関わって来ないのに私がA先輩と仲良く遊んでいると決まって邪魔をしてくるから。
と言っても私に被害は無くて、ほぼほぼA先輩が一方的に意地悪をされていたけど。



『あ！征くん、おままごとのにんじんがどっか行っちゃったよ〜……』

「……じゃあ一緒に探そうか」

『うんっ、じゃあ私あっち探して』

「駄目。一緒に探すって言ったよね？」



あの頃から、私は赤司先輩は異常に独占欲が強いなと思っていた。
でもそれはA先輩にだけ。
赤司先輩に一度だけ「Aは僕のものだから、あまり独占しないでね」とA先輩が居ない所で言われたのは今でもよく覚えている。




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