ドS彼氏の彼女攻略2【赤司征十郎】

59話　お風呂 ページ10

．


これは流石に、言いくるめられない。
仲良くなるためにスキンシップ、は100歩譲って分かるとしても、仲良くなるために一緒にお風呂に入るのは流石におかしすぎる。



『ともかく先にっ、……入ってきてよ』

「高宮が後から入ってくるのか？それでも良いが……それだと高宮が逃げそうだ」

『一緒には入らない、赤司君が出てきたら入る。だって意味が分からないし』



大体誰かと一緒に風呂に入るなんて、同性ですら恥ずかしいというのに。
頑なに首を縦に振らないAに、征十郎が暫く考える素振りを見せた。



「今日、高宮の言う契約書に高宮も同意しただろう」

『……あれは、そんな事までするとは思ってなかったから、一緒にお風呂だなんてスキンシップの範ちゅうを超えてるでしょ』

「ならあの契約書は無効だ。僕は明日皆に高宮と一緒に住んでいると公言してくるよ」

『は、え？なんで？』

「高宮が先に破ったんだ。僕だけあの契約を守っているのもおかしいだろう、それ相応の対応はさせてもらうよ」

『ちょ、ちょっと……っ、や、やめてよ……ふざけないでっ』

「それが嫌なら僕の言う事を聞くんだな。どっちが良い？今僕の言う事を素直に聞くか、それとも明日一緒に住んでいると周りに知られるか」

『……っ、』



正直、Aはどっちもお断りだ。
一緒に風呂に入るのは恥ずかしい。
かと言って明日一緒に住んでいると周りに言いふらされるのも困る。
ましてや一緒に住んでいるのはあの征十郎だ。



数多の女子から絶大な人気を誇っている赤司征十郎と一緒に住んでいる。
1つ屋根の下、2人きりで住んでいる。
そんな事を知られれば、赤司征十郎が好きな過激派の女子達からすぐに嫌がらせを受ける事は明白。



嫌がらせ自体は平気だが、面倒くさい事に巻き込まれるのは嫌だった。
その2つを天秤にかけるA。
今日お風呂に入れば、嫌な事は今日だけで済む。
でもそれを断れば、嫌がらせは女子達の気がすむまで……ずっと続くだろう。



いやでも、今日お風呂に入って我慢したとして、また明日一緒に入ろうと言い寄られたら？



『……』

「どうする？」



なんだかんだ、少しは優しいのかな、とか思い始めてきた時にこれだ。
前言撤回。
赤司征十郎は想像通りの俺様腹黒男。
Aが1番苦手な人種だ。



．

60話　お風呂→←58話　お風呂

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す