85話 文化祭、本番 ページ36
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その姿は幾分子供っぽくて、征十郎が思わずくすりと笑った。
そんな征十郎の姿と未だにお菓子を選んでいるAを見て、千尋がAには聞こえない音量で征十郎に話しかけた。
「赤司、お前高宮の事好きなの?」
「は?」
「いや、だって珍しい。お前そもそも女に対してあんなに丁寧に教えた事無いだろ。後なんか他の奴と居る時より楽しそう」
「……」
「それと最近は良く高宮と居る事が多いだろ?なんだ、次の彼女は高宮でも狙ってんの?あいつ最近人気が出始めたらしいから悠長にしてると取られるぞ」
若干面白そうに征十郎に聞く千尋。
少しカマをかけてみた。
普段の征十郎ならこんな安い分かりやすい挑発には乗ってこないだろうが、どうだろうか。
高宮関連なら、もしかしたら……
千尋が征十郎の表情を伺うと、征十郎は分かりやすく顔を顰めて不機嫌になっていた。
「高宮を他の奴と一緒にするな。お前には関係無い」
……かかったか。
「……やっぱり珍しいな、お前がこんなに」
「……」
「あー……分かったよ。もう何も言わない、俺も命は惜しいんだ」
しかし千尋が更にAと征十郎の事を言おうとすると、すぐに征十郎に殺気だたれた眼で睨まれたので、千尋ははいはいと観念したように両手を軽く上げるとそれ以上は何も言わずに黙った。
その時丁度、Aがお菓子を選び終わったのか戻ってくる。
「……それでいいの?」
『うん、でも……本当にこんなに貰っていいのか……』
「気にすんな、菓子なんてまだいっぱいあるし今の所の最高得点だからな」
『あ、ありがとうございます……』
するとそれを機に殺気を引っ込めた征十郎が、Aの腕を掴むと次の目的地まで足早に千尋の元から去って行ってしまう。
その様子を見て、マジであの赤司が面白い事になってやがるな、と再度心の中で思う千尋。
恐らくあれは本気の眼だ。
Aの事が好きなのだろう。
あんなに安い挑発に分かりやすくかかったのは初めてだ。
「……でもあいつ、執着心とか嫉妬とか凄そうな上結構なドSだからな、……あいつが本気で高宮を獲りに来たら今よりもっと酷くなりそうだ」
今はまだ、これでも大人しい方だが。
……いや、違う。
この時点であそこまでの執着だ、いつか本当に高宮の彼氏になったら今よりもっとあいつに振り回されそうだな、
未来の事を想像して、溜息をついた千尋だった。
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どろっぷ - すごく、おもしろかったです。更新、待ってます。 (2020年11月13日 19時) (レス) id: dcfe57966e (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - すっげ………面白れぇ………更新、頑張って下せぇ!! (2020年9月7日 6時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - ????? (2020年8月8日 11時) (レス) id: a60876bc3f (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@新垢2(プロフ) - 仁王彩香さん» 1ヶ月程また更新してませんでしたね……!申し訳無いです……!この後の展開を考えていたら少々行き詰まってしまいまして……笑 でも私も早く2人をもっと進展させたいので、また今週から更新再開させますね! (2020年7月5日 19時) (レス) id: 153d28bbbb (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 更新お願いします。゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2019年12月1日 20時