82話 文化祭、本番 ページ33
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午前のシフトも無事に終わり、人気の少ない場所で制服に着替えたAが待っていると、少し経ってから征十郎がやってくる。
「待たせたね、さてまず何処から行こうか」
『……ぇ?あ、2人で回るの……?』
「そうだが?」
『……あ、そう……』
征十郎に、ホールでの仕事中に着替えたらここで待っていろと言われAはここに来たのだが……てっきり何かバスケ部関連で用事でもあるのかと思っていた。
しかし征十郎は、Aと合流するなり文化祭のしおりを開くとパラパラとクラスの出し物一覧を見ている。
特に何か緊急の用事がある訳でも無さそうだ。
「……確か小太郎と玲央のクラスはお化け屋敷だったな、ここから近い、行くぞ」
『……う、うん』
まさかの征十郎と2人で回る展開に一瞬戸惑ったAだが、ここで断っても他に一緒に見て回れる相手は居ない。
それにどうやら気になっていた先輩達ややよいのクラスを見に行くようだ。
特に断る理由も無いので、驚いたが大人しく征十郎に着いていく事にした。
「……意外と凝って作っているようだね」
『……お化け屋敷か……』
「なんだ、怖いのか?」
『いや、……怖いというか……別に……そういえば、葉山先輩赤司君を驚かすとか言ってたよね』
「……そういや言っていたな。滅多な事が無い限り僕は驚かないが……まぁ期待しておこう」
お化け屋敷だからか、それなりに賑わっていて列にはカップルの姿も多い。
クラスの出し物がお化け屋敷と決まって、大喜びしていた小太郎の事を思い出すAの横で征十郎は、僕も高宮と2人だから周りから見ればカップルに見えるんだろうか、とそんな事を考えていた。
「……カップルか、悪くないな」
『?赤司君?順番、来たみたいだよ』
「あぁ、じゃあ行こうか」
受け付けから渡されたライトを持って奥に進む。
躊躇無くがんがん前に進んでいく征十郎の後ろで、Aも後に続いた。
「ァア……ア……ヴァ………ワァァァ!!」
「……」
『……ッ、!』
早速お化け役が驚かしに来る。
が、征十郎はライトをちらりとお化けの方に向けただけで、特に反応は無い。
ではAの方は……と言うと。
声には出さなかったが、ビクリと肩を震わせると征十郎の左側に出てきたお化け役から少しでも遠ざかるように、征十郎の右側にさり気なく避難していた。
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どろっぷ - すごく、おもしろかったです。更新、待ってます。 (2020年11月13日 19時) (レス) id: dcfe57966e (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - すっげ………面白れぇ………更新、頑張って下せぇ!! (2020年9月7日 6時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - ????? (2020年8月8日 11時) (レス) id: a60876bc3f (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@新垢2(プロフ) - 仁王彩香さん» 1ヶ月程また更新してませんでしたね……!申し訳無いです……!この後の展開を考えていたら少々行き詰まってしまいまして……笑 でも私も早く2人をもっと進展させたいので、また今週から更新再開させますね! (2020年7月5日 19時) (レス) id: 153d28bbbb (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 更新お願いします。゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2019年12月1日 20時