77話 文化祭、準備 ページ28
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幸い、Aは裁縫などは苦手だがこういった工作系は得意だ。
昔から勉強の合間など暇が出来た時は息抜きに家の自室で折り紙を折ったり海の生き物や動物を作ったりと工作をしていたものだ。
『……』
そうして黙々と紙で花を作っていくAを見て、征十郎は話しかけるのを辞めた。
元よりAにはクラスでは必要な要件以外あまり喋りかけないでほしいと言われている。
恐らくそれを見たクラスメイトに余計な詮索をされるのが嫌なのだろう。
それにAは今物凄く集中している。
邪魔をするのは辞めておこうと思ったのだ。
そんなAが、クラス中の注目の的となったのはそれから暫くしてからだった。
「え、何これすご!!!!」
突如クラス中に響き渡った驚きの声。
その声を発した生徒の真正面に居たAは、急に頭上から聞こえてきた大声にビクッと肩を揺らした。
上を向くと、そこには同じクラスのギャルが1人。
確かこのギャルは、どこか特定のグループに属する事はしない、分け隔てなくいろんな人と仲良く接する事のできる、クラスの中でも中心人物的存在の人気者だ。
Aが苦手なタイプでもあるが……そのギャルはAの作った紙の花を見て偉く驚いていた。
「超凄いんだけど!超可愛い!!これ高宮さんが全部作ったの?!」
その声に、クラス中の視線がAの手元に集まる。
と同時に誰もがギャルと同じ反応をして驚いた。
征十郎も何事かとAの方を見る。
Aの机の上に置かれた紙の花の数々。
だがその全てがどれも、完成度が高くかつ精巧に作られていた。
そもそも誰もが紙の花を作れと言われて作るようなごく一般的な花とは違う。
花びら一枚一枚が丁寧に表現されていて、しかも中央にはちゃんと黄色い花芯も作られている。
更には全て花びらの形が違ったりと同じものは作らない徹底ぶり。
『う、うん……そう、だけど……』
「あたしも作りたい!作り方教えて欲しいんだけど!あ、ちょっと席借りるね!隣座っても良い?」
『えっ、えっと、うん。じゃあまず……』
Aの承諾を得る前にはもう既に隣に座っていたギャルだが、Aは少し動揺しつつもまだ残っている紙をいくつか取ってギャルに渡すと、丁寧に作り方を教え始めた。
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どろっぷ - すごく、おもしろかったです。更新、待ってます。 (2020年11月13日 19時) (レス) id: dcfe57966e (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - すっげ………面白れぇ………更新、頑張って下せぇ!! (2020年9月7日 6時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - ????? (2020年8月8日 11時) (レス) id: a60876bc3f (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@新垢2(プロフ) - 仁王彩香さん» 1ヶ月程また更新してませんでしたね……!申し訳無いです……!この後の展開を考えていたら少々行き詰まってしまいまして……笑 でも私も早く2人をもっと進展させたいので、また今週から更新再開させますね! (2020年7月5日 19時) (レス) id: 153d28bbbb (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 更新お願いします。゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2019年12月1日 20時