76話 文化祭、準備 ページ27
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翌日。
案の定Aはクラスの隅で何をすれば良いのか分からず、手持ち無沙汰にうろうろ。
クラスの中はわいわいと楽しそうな雰囲気で満ちているが、ほとんどはいつもの仲良しグループで固まっている。
文化祭の準備自体も明確に誰がどれをやるかは決まっておらず、各々がしたい事、得意な事を中心に自分で選んでやっているので、尚更自分は何をすれば良いのかAには分からない。
今までずっと、親の言う事だけを聞いてきたので自分で何かを選ぶ事がAは苦手なのだ。
『……』
でも、このままではクラスの荷物になってしまうし。
何かやりたいけど、何をすれば良いのだろう。
困っているAをちらりと見た征十郎が、仕方無いとAにも何か仕事を手伝わせようとAに近づく。
が、その前にAが動いた。
『あの、何か私にも手伝える事はある?』
「え?……た、高宮さん?」
覚悟を決めて、クラスメイトに話しかけたのだ。
突然Aに話しかけられて驚くクラスメイト。
「あ……えっと、じゃあクラスの飾り付けとか、かな」
『……その風船を膨らませれば良いの?それなら私も出来るから、私も手伝っ』
「あ、いや!これは人手足りてるし……!」
「私達でやってるから、さ……えっと、」
「あ、花飾りとかどうかな……?あれは、確かあんまやってる人居なかったよね?」
「確かに!あー……それが良いよ!ここは大丈夫だから!」
『……分かった』
しかしAは普段から何を考えているか分からないとクラスメイトから恐れられている。
Aはとりあえず何か一緒に手伝う事でクラスメイトとの距離を縮められたら……と思っていたが、明らかに一緒にやる事を拒まれてしまった。
Aが話しかけている時は顔が強張っていたクラスメイトだが、Aが立ち去るとホッとしたような表情を見せてまた何事も無かったかのように楽しそうに話しながら手を動かす。
その様子を見て少し落ち込んだAだが、
けれど何をすれば良いのかは分かった。
確かに辺りを見渡してみると、紙の花を作っている人は少なく手が足りていないようだったので、Aは薄い色とりどりの紙の束をいくつか手に取ると自分の席に戻った。
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どろっぷ - すごく、おもしろかったです。更新、待ってます。 (2020年11月13日 19時) (レス) id: dcfe57966e (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - すっげ………面白れぇ………更新、頑張って下せぇ!! (2020年9月7日 6時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - ????? (2020年8月8日 11時) (レス) id: a60876bc3f (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@新垢2(プロフ) - 仁王彩香さん» 1ヶ月程また更新してませんでしたね……!申し訳無いです……!この後の展開を考えていたら少々行き詰まってしまいまして……笑 でも私も早く2人をもっと進展させたいので、また今週から更新再開させますね! (2020年7月5日 19時) (レス) id: 153d28bbbb (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 更新お願いします。゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2019年12月1日 20時