検索窓
今日:7 hit、昨日:13 hit、合計:133,499 hit

70話 ゲームセンター ページ21

.


「別に気を付ける必要は無い」

『え……』

「少なくとも無表情で居る高宮より、笑っている顔の高宮の方が可愛い」

『……』



……まぁ、高宮は顔が整っているから無表情でも可愛いが。
これは口に出す前に飲み込む。
高宮を見ると、珍しくぽかんとしていた。



『……私、赤司君の前で……笑った事、あったっけ……?……そもそも、私笑うのは苦手で……』

「……無自覚か」



そうだろうなとは思っていたが。
水族館でぬいぐるみを受け取った時の高宮のあの笑顔を思い浮かべる。
あれは今思い出しても、……そうだな。



まぁいい、他の奴らは恐らくまだ遊んでいるようだから高宮にも合流するように言い、歩き出す。
すると高宮が『、あ……!』と何か思い出したように慌てて僕の服を掴んだ。



『ごめん、忘れてた……これ、100円!』

「……は?」

『ほら、さっき100円入れて取ってくれたから……あれ赤司君のお金だし……』

「……ふっ、」

『え、?な、なんで笑うの……』

「あぁいや、本当に真面目だなと思ってね。別に要らない、100円ぐらい」

『え、でも、少額でも流石にお金は……!受け取って……!』



僕が断っても、高宮は中々引かない。
礼儀正しく、いかに高宮が模範的に育ったのかが伺える。
真面目すぎるのもどうかと思ったが、それも含めて高宮の良いところだ。



だが僕も受け取る気はさらさら無いからな。



どうしようか、暫く考えてある事を思いつく。



「……そうだ、じゃあこうしよう。100円を受け取らない代わりに仲直りをしよう」

『……え、仲直り……?』

「そう。あの風呂での一件以来、高宮は僕の事を避けているだろう。僕もまぁ……流石にあれはやりすぎたと反省している。これからは程々にすると約束するから100円を渡さない代わりに高宮は僕を避けるな、仲直りだ」

『……絶対しないとかじゃないんだ……程々……』

「仕方無い。手は出る。許せ」

『……』



流石にこれだと高宮は首を縦に振らないかもしれない。
だが事実だ。
全く手を出さないとは約束出来ない、恐らく手は出すからだ。



となるとここで嘘をついてもまた結局高宮とは距離が離れる。
それならと正直に言った訳だが……



『……分かった。程々にされても困るけど……あそこまでのは、しないって言うなら……まぁ……とりあえず……』



ぬいぐるみ、ありがとう。
そう言って高宮は僅かに頬を緩めた。



.

71話 プリクラ→←69話 ゲームセンター



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (209 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
811人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

どろっぷ - すごく、おもしろかったです。更新、待ってます。 (2020年11月13日 19時) (レス) id: dcfe57966e (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - すっげ………面白れぇ………更新、頑張って下せぇ!! (2020年9月7日 6時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - ????? (2020年8月8日 11時) (レス) id: a60876bc3f (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@新垢2(プロフ) - 仁王彩香さん» 1ヶ月程また更新してませんでしたね……!申し訳無いです……!この後の展開を考えていたら少々行き詰まってしまいまして……笑 でも私も早く2人をもっと進展させたいので、また今週から更新再開させますね! (2020年7月5日 19時) (レス) id: 153d28bbbb (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 更新お願いします。゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2019年12月1日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。