69話 ゲームセンター ページ20
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赤司side
それから暫くの間、高宮の事を見ていたが不器用な高宮は一向にお目当ての物を取れない。
確かにUFOキャッチャーは初心者には難しいが、あれだけ真剣にやっていて取れない物だろうか。
高宮とは風呂での一件以来距離を置いていたが……流石にあれ程頑張っても中々取れないというのは見ている僕も焦れったいものがある。
それに……高宮があのぬいぐるみを手に入れて、嬉しそうにする姿が早く見たい。
気付けば、勝手に足は動いていた。
「違う、そうじゃない。いいか、ぬいぐるみはタグを狙え。それか……この場合はクレーンを押し付けてぬいぐるみを落とした方が早いな」
『……え?、ッ、あ、赤司君……?!』
UFOキャッチャーに100円を入れて、高宮の後ろから高宮の手の上に自分の手を重ねてレバーを掴む。
急に僕が来て驚いたのか、高宮は反射的にレバーから手を離そうとしたが逃がさない。
ぬいぐるみの位置を把握して、アームの形を見てからレバーを動かした。
ここなら……丁度アームが掴もうとする時に手前のぬいぐるみに当たってそのまま押して落とせるだろう。
「……ほら、取れた」
狙い通り。
ぬいぐるみは1発で落ちる。
UFOキャッチャーの下の箱を開けてペンギンを取り出し、高宮に渡した。
『……ぇ』
「なんだ、要らないのか?」
『いや、え……えっと……何で……え、くれるの……?』
「僕がこれを貰っても使い道に困る」
『……あ、……ありがとう……』
高宮は僕からペンギンを受け取ると、ぎゅっと大事そうに抱き締めた。
少し羨ましい。
だが、案の定高宮はペンギンを見て少し嬉しそうに頬を緩ませたから、それを見れただけでも良しとする。
それにしても、
「……高宮は分かりやすいな」
『え?!』
「表情に出てる。UFOキャッチャーをやっている最中もいつもより真剣そうだったからな。そんなに欲しいのかと思ってね」
『……う、嘘……』
と言っても、他の奴程は表情に出ないが。
それでも嬉しそうな時は多少頬が緩み、好きな事をしている時はかなり真剣な顔つきになる。
恥ずかしい時なんかはすぐ顔が赤くなるからかなり分かりやすいが。
そう言うと、高宮は顔を赤くした。
ぼそっと、気を付けなきゃ……と呟く。
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どろっぷ - すごく、おもしろかったです。更新、待ってます。 (2020年11月13日 19時) (レス) id: dcfe57966e (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - すっげ………面白れぇ………更新、頑張って下せぇ!! (2020年9月7日 6時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - ????? (2020年8月8日 11時) (レス) id: a60876bc3f (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@新垢2(プロフ) - 仁王彩香さん» 1ヶ月程また更新してませんでしたね……!申し訳無いです……!この後の展開を考えていたら少々行き詰まってしまいまして……笑 でも私も早く2人をもっと進展させたいので、また今週から更新再開させますね! (2020年7月5日 19時) (レス) id: 153d28bbbb (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 更新お願いします。゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2019年12月1日 20時