62話 火照り ページ13
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Aが黙ると、また征十郎がお湯の中でAの足に触れる。
するとその度にAが少しずつ後ろに避けていくが、やがて浴槽の端にあたりこれ以上は逃げられなくなると、征十郎はにやりとAが俯いている隙に口角を吊り上げた。
Aの足を撫でる。
Aはこれ以上はもう後ろに逃げられないので、今度は横に足をずらして避けるが
Aの足の動きを追ってきた征十郎の足にすぐに捕まってしまう。
足首から上にゆっくりと撫で膝にたどり着くと、征十郎の足はAの足の輪郭を沿って太ももを伝っていく。
Aはもうどうしたらいいのか分からなくなってしまったのか、無言のままだ。
それを良いことに征十郎の足の動きは止まる気配を見せない。
しかし太ももの付け根部分までなぞると、ピタリと動きを止めた。
また膝の方に戻っていく。
ピタリ。
また動きが止まる。
再度太ももの付け根部分へ。
それを2度3度繰り返すと、Aに動きが。
突然征十郎の方を見たかと思うと、次の瞬間バシャッと大きな水音を立てて風呂の中に両手を入れた。
その手は迷わずさっきまで自分の足を触っていた征十郎の足を掴む。
『捕まえたっ……!現行犯で証拠を掴んだんだからこれで言い訳は出来ない!』
勝った!とばかりに征十郎の足を強く掴んで離さないAは、征十郎の顔を見た。
征十郎の動きが止まる。
「……これもスキンシップの1つだよ」
しかしAが手で掴んだ事により焦ると思われた征十郎は、全くそのような素振りも見せず、あくまでも涼しい表情だ。
浴槽の縁に肘をついて、フッ、と笑っている。
その態度が案の定癪に触ったAは、更にしかめっ面になると征十郎を睨んだ。
『絶対違う!……こんな事をしてくるようなら、私ずっと赤司君の足離さないから』
「……へぇ、高宮って積極的だな」
『……っ、あのねぇ!そういう意味で言ったんじゃない!これは監視!私に足を離してほしいなら、こういう事はもうしないって誓って!』
「……」
『聞いてるの?!』
「あぁ、聞いてるよ。ただ……そんな誓いをしなくとも、高宮の手を振りほどく事は至極簡単だと思うけどね」
『……はぁ?』
未だに全く焦る様子も見せない征十郎に、Aの心も段々と苛立ってくる。
滅多に声を張り上げないAだが、こればっかりは相当頭にきていたらしく。
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どろっぷ - すごく、おもしろかったです。更新、待ってます。 (2020年11月13日 19時) (レス) id: dcfe57966e (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - すっげ………面白れぇ………更新、頑張って下せぇ!! (2020年9月7日 6時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - ????? (2020年8月8日 11時) (レス) id: a60876bc3f (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@新垢2(プロフ) - 仁王彩香さん» 1ヶ月程また更新してませんでしたね……!申し訳無いです……!この後の展開を考えていたら少々行き詰まってしまいまして……笑 でも私も早く2人をもっと進展させたいので、また今週から更新再開させますね! (2020年7月5日 19時) (レス) id: 153d28bbbb (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 更新お願いします。゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2019年12月1日 20時