ドS彼氏の彼女攻略【赤司征十郎】

34.コンビニ ページ35

.


邪魔をされたAの兄は、征十郎を視界に捉えると睨む。



「……何？なんか用？」

「嫌がってたので。それに、貴方が家にわざわざ連れて帰らなくとも高宮はもともと今から家に帰る途中でしたよ」



兄の表情は、端正な顔立ちをしているせいか睨みをきかせると結構怖いのだが、征十郎は至って涼し気な表情で受け答える。



そんな２人を見て、Aは驚きながらも辞めてと征十郎に声をかけようとするが。
その前に兄が言葉を発したことでさえぎられる。



「……この声。君、もしかして最近Aに電話をかけた？」

「かけましたよ。部活の事で連絡があったので」

「……そうなんだ。俺はAを心配してやってるだけだよ。同じ家に帰るんだから自然な事でしょ、部外者は黙っててもらえないかな」

「最初に高宮と一緒に居たのは僕達の方ですよ。突然現れて高宮の意見も聞かないで身勝手に連れ去ろうとしてる貴方の方がこの場では一番部外者だと思いますけどね」

「……君、電話の時もそうだったけど本当しつこいね。兄妹の話に入って来るなって言ってんの。たかが部活仲間程度の癖に」



バチバチと火花が散る。
イライラを隠せない兄と涼し気な表情を崩す事無く兄の言葉をひょいひょいと交わす征十郎。



そんな２人を見てどうしようと困ったように俯くA。
そして何が何やら分からないが、なんとなくただ事では無いとピリピリした空気を感じて話の間に入っていけないバスケ部。



やがて兄が痺れを切らしたのか再度Aに声をかけた。



「じゃあAの意見を聞けばいい。お兄ちゃんとこいつら、どっちを優先するの？」



突然話を振られてAがビクリと肩を揺らす。
征十郎と兄、交互に視線を寄越すとまた俯いた。



それを見て、僅かに余裕の表情を取り戻す兄。
分かっている。
Aがどちらを選ぶかぐらい。
結局いつも、最後には必ずAはーーー……



『……ご、めん……赤司、君……腕……離し……て、』



ーー俺を選ぶ。



兄の方に駆け寄ったAに、勝ち誇った表情を浮かべた。



「……高宮」

『……ごめ…ん、私は……大丈夫、だから……』

「A、帰るよ」



征十郎が引き止めようとする前に、今度は兄がAの腕を引っ張る。
そうして強引にAは兄に連れ去られてしまった。


.

35.退部？→←33.コンビニ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す