ドS彼氏の彼女攻略【赤司征十郎】

29.電話 ページ30

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翌日、征十郎がいつも通り朝一番に体育館に着き、自主練を行っていると。



その30分後ぐらいから別のメンバー達がぞろぞろと体育館に集まりだしてくる。
これもいつも通り。



そしてその中には



やよいの隣を歩くAの姿。
いつも通り、Aは学校に来ていた。



「高宮さん今日なんか元気ない……？」

『……』

「高宮さん……？」

『……あっ、……ごめん何……？』



しかし確かにやよいの言う通りいつもよりやつれている気がする。
ぼーっとしていたのか、やよいの声にも反応が遅れていた。



征十郎は、Aを見つけるとすぐに声をかけた。
昨日何があったのか気になる。



「高宮」

『あっ……赤司……君、昨日は……ごめん、途中で切っちゃって……』



まただ。
また水族館の時と同じようにそれしか言わないA。



「やよい。高宮を借りてく、少し遅くなるかもしれない」

「えっ？あ、うん……分かった、じゃあ先に朝練の準備だけしてくるね」



しかし今日は流石に、それだけですむ話ではない。
やよいに一言それだけ言うと、征十郎はAの腕をとる。
引っ張って、人気が少ない場所まで連れて行った。



『えっと……何？』

「……高宮の兄は、どういう人？」

『えっ……？』

「昨日、高宮とお兄さんの会話が携帯越しから聞こえた。……妙に、高宮は委縮していただろう。怯えているように聞こえた」

『……』

「水族館の時もそうだったな。兄の事について独り言をつぶやいては怯えていた。その時は何も教えてくれなかったが、今回ばかりはそうもいかない」

『……別に、』

「それに、電話を切られてからまた何度かかけたら一度だけ君の兄が出た。君しつこい、とだけ言って一方的にまた切られたよ」



と、征十郎が昨日あった事を言うと、Aがぴくりと反応した。
やや食い気味に征十郎の腕をつかむ。



『お兄ちゃんが出たの？！』

「やっぱり兄が居るんだね」

『あっ』



自分から墓穴を掘ってしまった。
慌ててAが自分の口を手で押さえるももう遅い。



知られたくない。
あまり家の話はしたくない。
Aはそうぽつりとつぶやいたが、兄が征十郎に何か言ったのなら話は別だ。



Aは小さく深呼吸をする。
やがて地面を見つめながら、重たい口を開けた。



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