ドS彼氏の彼女攻略【赤司征十郎】

24.ラノベ ページ25

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『黛先輩、これ……読みました』



部室にて、Aが鞄から何冊か小説を取り出すと千尋に渡す。



「どうだった」

『……』



部室の机の上に置かれた小説。
部活終わりの出来事だったので、部室にはほかのレギュラー、マネージャーのやよいも居る。



Aの言葉の内容が気になって、無意識に皆机に置かれた小説を視界に入れた。



が、小説のタイトルを見た瞬間小太郎と玲央と永吉はぶッと思わず吹き出し、やよいはえッと驚いた表情になる。
ちなみに征十郎は大して今の会話には気にも留めていないようだ。



俺の脳内選択肢が学園ラブコメを全力で邪魔している。



千尋セレクトらしい所謂ラノベ。
ああいう系をAに読ませたのか……
誰もがそう思った。
ラノベなんてAは読んだことが無いだろうに。
たまにAが私物の小説を持っているのは見たことがあるが、どれも難しそうなタイトルの小説ばかりな事を全員知っている。



そもそもAのようなタイプにラノベは似合わない。
では何故千尋から借りたのか。



結論を言うと、千尋からAは貸してもらった訳じゃない。
千尋の方から、これ面白いぞと一方的に渡されたのだ。
千尋の好奇心からだった。
こういったタイプの小説を読ませたらどんな反応をするのかという。



AもAでせっかく先輩に借りたのだからと律儀に読んだようだ。
真面目な性格が出ている。



『……面白かったのですが、いくつか質問があって……』

「例えば？」

『この女の子が、主人公の男の……その、下着を見て意外と大きいと言っていたんですがあれはどういう』

「ぶふッ！！Aちゃん？！なんて事言ってるの？！」

「黛さん！！！何読ませてんの？！」



またも玲央と小太郎が噴出した。
慌てて女の子なんだからこんな男がいっぱい居るような場では言っちゃいけません！と玲央がAの言葉をさえぎる。



それに対して永吉が「親かよ」とツッコんだがAは今いち意味が良く分かっていないようだ。



今Aが言ったシーンは、あきらかに男のソレについてだ。
やよいも意味が分かっているのか、少し顔を赤くしている。



Aだけだった。
その手の知識が全くないのは。




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