ドS彼氏の彼女攻略【赤司征十郎】

18.水族館へお出かけ ページ19

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その後。
まだ見てない水槽の方を少しだけ見て回ったAと征十郎は最後に水族館の土産屋に来ていた。



『……』



じっと大きいシャチのぬいぐるみを見つめるA。
手を伸ばすが、一番上の棚に置いてあるからか平均より少し低いAの身長では届きそうで届かない。
少しつま先立ちになって眉間に皺をよせながら精いっぱい手を伸ばすAに思わずクスッときてしまう。



これが欲しいのか？と、代わりに征十郎がすっと手を伸ばして容易にぬいぐるみを掴むとAが征十郎を見た。



渡す素振りを見せると、Aは一瞬悩んだ後遠慮がちに手を伸ばす。



が、ぬいぐるみを掴もうと伸ばした手は空気を掴んで失敗に終わる。
征十郎がその瞬間にぬいぐるみを持つ手を少し上にあげたからだ。
ちょっとした意地悪心からだった。
からかったら今度はどんな表情を見せるのか気になる。



『……』

「……」



またAが手を伸ばす。
すると征十郎が更に手を上にあげた。



そんな攻防をお互い無言で繰り返す事3.4回。
やがて少し不機嫌な顔になったAが先に折れると、『もういい』と言って別のぬいぐるみを物色しに行ってしまった。



その様子を見てくつくつと征十郎が喉の奥で笑う。
今度はAの機嫌を直そうと別のぬいぐるみを手に取った。
ぬいぐるみの中に手を入れて動かすパペットだ。



『……』

「高宮」



征十郎に声をかけられて声がした方向を振り向くA。
そこには羊のパペットに手を入れてぬいぐるみを動かす征十郎の姿。



Aは困惑した表情で何かと征十郎を見る。



征十郎が羊のぬいぐるみの手を動かした。
無言無表情で。
小脇には先程Aが欲していたシャチのぬいぐるみ。



Aは一瞬目を逸らす。
が、耐えきれなかったのかふふっと思わず噴き出した。



『ふふっ、……赤司君ぬいぐるみ似合わなすぎ』



あははっと控えめに笑うA。



『やっぱりこっちの小さいシャチでいいや』



そしてそう言って小さいぬいぐるみを持ってレジに向かって行ったAに



「(……まずい、今の笑顔の破壊力……)」



僕が……ゲインロス効果(最初の印象を下げてから後の印象を上げると、評価があがりやすくなる心理効果)にハマってどうするんだ……
と、征十郎が思っていた事にAは知る由もない。



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