ドS彼氏の彼女攻略【赤司征十郎】

17.水族館へお出かけ ページ18

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それを見て征十郎もまたAの横に腰かける。



シャチは飼育員から餌をもらったり、飼育員の動作を見て頬にキスをしたりしていた。



「……あれが見たかったのか？」

『……そう。パートナーの飼育員さんとショーが終わった後にじゃれあう姿も可愛いからオススメなんだけど……普通は、ショーが終われば皆すぐに帰っちゃうから』



いつもより、Aの口数が多い。
やはり自分の好きなことだからか。
征十郎はAが好きなシャチの事で何か話題を、とそういえばと会話を続ける。



「シャチは群れや集団によってコミュニケーションの音が違うらしいね。人間でいうところの方言みたいなものがあるとか」

『えっ……』



Aが、勢い良く振り向いた。
ぱぁっと顔を輝かせている。



『良く知ってるね、そうなの！ちなみにその方言は家族で親から子へ引き継がれるんだよ、それにシャチは家族愛とか夫婦愛とかも強くてね、賢いから気配りも出来ると言われてて』



いつになく饒舌。
楽しそうにシャチを見ながらぺらぺらと語るその姿は普段のAとは想像がつかない程はしゃいでいる。



『皆怖いって言うけど、シャチは滅多な事が無い限り人を襲わないし、稀に襲われたというケースもあるけどそれはただシャチが人間にじゃれようとしただけで故意は無かっ……』



そしてもう一度征十郎の方を振り向いて、征十郎が僅かに驚いて自分の事を見ているのに気づいたのかピタッと言葉を止めるA。



バツが悪そうに少しだけ頬を赤くして目を逸らす。



「……どうした？」

『……何でもない、今の……忘れて……』

「……」

『……気をつけていたのに……無駄な恥をかいた……』



……恥？
別に恥ずかしい事ではないと思うが……
むしろ、あの高宮が子供のようにはしゃぐという普段とのギャップが……



だが本人からしたらよほど恥ずかしかったのだろう。
ぎゅっと拳を膝の上で固く握りしめて、無言で俯いてしまった。



「シャチ、もう自分の普段の水槽の方に帰るみたいだよ。僕達も行こうか」

『……うん』



仕方なく征十郎の方から声をかけると、Aは僅かに頷いておとなしく征十郎の後を追う。
チラッと後ろを振り向くと、やはりAは相変わらずいつもの仏頂面だった。



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