ドS彼氏の彼女攻略【赤司征十郎】

15.水族館へお出かけ ページ16

.


土曜日、午後。



征十郎と約束した時間は13時。
Aはやっぱり断れば良かったかなと思いつつ足早に約束した場所へと向かっていた。
基本的に真面目なA、いくら相手が苦手な征十郎といえど約束はきっちり守るタイプだ。



水族館近くの駅に着くと、既に征十郎が壁にもたれかけながら待っていた。



『赤司君』

「高宮……随分、地味な服装だね」

『……なんだっていいでしょ』



Aの今日の服装は無地の白いTシャツにデニムパンツ、サンダルとかなり簡素なものだ。
征十郎が今まで相手をしてきた女の子達は皆可愛らしいフリルのついた服や露出が多い服で来たので実にAらしい。



「もっとあっただろう、せめてワンピースとか」

『着れれば全部服。興味ない』

「……ふっ、高宮らしいな」

『……何』

「いや、なんでも」



服には無頓着のようだ。
征十郎はせっかく顔とスタイルは良いのに勿体無いとすたすた歩いて行ってしまうAの後を追いながら思った。



『……』

「熱心に見ているね。魚好きなの？」

『……見ていて飽きないから、生き物は喋らないし』



水族館に着くと、まず初めにAが見に行ったのは深海の魚が集まった水槽。
その次に色んな魚が泳いでいる巨大な水槽に行くと近くに寄ってじっと無言で見つめる。



その姿を自分も魚を鑑賞しつつ横目で見る征十郎。
いつも眉間に皺を寄せているAだが、水槽を見ている時の顔はどことなく雰囲気が柔らかい。



『あ……エイだ』



そしてエイを見つけると少ししゃがんだり顔を右に傾けたり左に傾けたり。
何をしているのか気になった征十郎が声をかける。



「……何してるんだ？」



その声にAは肩をびくっと揺らした。
少し慌てると何も無かったかのようにまた無表情で水槽に向き直る。



『……別に』



……もしかして、エイの裏側が見たかったのか？
確かエイは裏側の顔が可愛いと水族館でも人気者だ。
まぁ皆が思っているその裏側の顔は正確には口と鼻で目は表側にあるのだが。



意外と可愛い所もあるじゃないか。



と、征十郎が後ろでくすりと笑っている時。
Aはそういえば赤司君も一緒だったんだ……今の見られたみっともない恥ずかしいと心の中で頭を抱えていた。



.

16.水族館へお出かけ→←14.水族館

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す