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が、気付く。
この自分の反応が、先程までの赤司君と黛さんの反応に酷似していることに。
……まさか、
「……くん!黒子君!」
誰かの名前を呼ぶ声にハっと我に返って後ろを振り返ると、氷室さんが僕の腕を引っ張った。
瞬間目の前で怖いと怯えていたAさんが消える。
「テツヤ!」
「……赤司君」
「……僕とした事が騙された、くそっ幻覚か……」
「……やっぱり」
銃を向けたとき現れたAさんは幻覚。
多分僕と同じ光景を赤司君も黛さんも見ていた。
だからあの2人も同じく躊躇していた。
あれだけ目の前で怯えられれば、自分が悪いように思えてきてしまうから。
助けるために銃を撃とうとしているのに、あれだけ哀しそうな顔を向けられれば……
どうやら氷室さんがそれに気付いて助けてくれたらしかった。
僕達の足元を黒い影が徘徊している事に気付き、咄嗟に腕を引っ張り黒い影から遠ざけたんだとか。
だから我に返って現実に戻れたのか。
「……あの黒い影がわしらにAちゃんを助けさせないようにしとる、たち悪いで、情に訴えかけるとは」
物理的な攻撃を一切してこず、内面から僕達を壊しに行こうとする。
それは体力を無駄に削られるのよりも、ずっと辛い事で。
体力よりも先に、精神面で力尽きてしまいそうだ。
「テツヤ」
銃を握り締め、考え事をしていた僕から赤司君が銃を取る。
「さっきは突然の事で対応しきれなかったが、次は無い。次は必ず撃つ」
カチャリ。
銃弾がもう一度セットされる。
また自分に撃とうとしていることが分かったのか、黒い影は赤司君に近付こうとするが……。
「遅い、Aを返して貰おうか」
ダン!
銃声が鳴るのと、Aさんが倒れるのはほぼ同時だった。
影は薄くなったり濃くなったり、Aさんの周りを苦しそうに徘徊した後。
意外にもあっさりと、姿を消した。
重たくて気持ち悪い空気も、もう感じない。
『……』
「お姉ちゃん!!」
ひまりさんが駆け寄って、Aさんの肩を揺すると同時に僕もAさんの元へ。
やがて。
『……ん、』
Aさんは目を開けた。
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フルーツタルト - すっごい面白いです!一人でうーんってずっと考えて読んでます 。無名ちゃんって、りおさんのこと?難しいなぁ。 (2018年1月9日 14時) (レス) id: 5b005f25dc (このIDを非表示/違反報告)
寝夢 - どんどん解決に向かってきてる!!けど、終焉の少女って誰?!うーーん、やっぱり夢主ちゃんですかね?.....誰なんだ、? (2017年7月9日 8時) (レス) id: 0f597acb7e (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@復帰しました(プロフ) - エコロさん» おひさしぶりですー!!壊れ?!それは災難でしたね……(・д・`;) どうでしょう笑 さぁさぁもっと考えるのです!←笑 (2017年6月15日 13時) (レス) id: 98008e40b1 (このIDを非表示/違反報告)
エコロ - 神崎さん、お久しぶりです(( 3DSが壊れてidが変わりましたが気にせずに!! まさか、無名ちゃんが放送室の!?(( (2017年6月5日 20時) (レス) id: 520a9242e6 (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@復帰しました(プロフ) - えみさん» 感動系のお話を考えるのも好きなんです笑 何というか、考えさせられるようなお話に出来たらなぁと笑 ありがとうございます! (2017年5月28日 14時) (レス) id: 98008e40b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2017年4月3日 15時