検索窓
今日:13 hit、昨日:2 hit、合計:61,059 hit

116. ページ23

.


が、気付く。
この自分の反応が、先程までの赤司君と黛さんの反応に酷似していることに。



……まさか、



「……くん!黒子君!」



誰かの名前を呼ぶ声にハっと我に返って後ろを振り返ると、氷室さんが僕の腕を引っ張った。
瞬間目の前で怖いと怯えていたAさんが消える。



「テツヤ!」

「……赤司君」

「……僕とした事が騙された、くそっ幻覚か……」

「……やっぱり」



銃を向けたとき現れたAさんは幻覚。
多分僕と同じ光景を赤司君も黛さんも見ていた。
だからあの2人も同じく躊躇していた。
あれだけ目の前で怯えられれば、自分が悪いように思えてきてしまうから。
助けるために銃を撃とうとしているのに、あれだけ哀しそうな顔を向けられれば……



どうやら氷室さんがそれに気付いて助けてくれたらしかった。
僕達の足元を黒い影が徘徊している事に気付き、咄嗟に腕を引っ張り黒い影から遠ざけたんだとか。
だから我に返って現実に戻れたのか。



「……あの黒い影がわしらにAちゃんを助けさせないようにしとる、たち悪いで、情に訴えかけるとは」



物理的な攻撃を一切してこず、内面から僕達を壊しに行こうとする。
それは体力を無駄に削られるのよりも、ずっと辛い事で。



体力よりも先に、精神面で力尽きてしまいそうだ。



「テツヤ」



銃を握り締め、考え事をしていた僕から赤司君が銃を取る。



「さっきは突然の事で対応しきれなかったが、次は無い。次は必ず撃つ」



カチャリ。



銃弾がもう一度セットされる。
また自分に撃とうとしていることが分かったのか、黒い影は赤司君に近付こうとするが……。



「遅い、Aを返して貰おうか」



ダン!



銃声が鳴るのと、Aさんが倒れるのはほぼ同時だった。
影は薄くなったり濃くなったり、Aさんの周りを苦しそうに徘徊した後。



意外にもあっさりと、姿を消した。
重たくて気持ち悪い空気も、もう感じない。



『……』

「お姉ちゃん!!」



ひまりさんが駆け寄って、Aさんの肩を揺すると同時に僕もAさんの元へ。



やがて。



『……ん、』



Aさんは目を開けた。




.

117.説得しましょう→←115.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (112 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
383人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

フルーツタルト - すっごい面白いです!一人でうーんってずっと考えて読んでます 。無名ちゃんって、りおさんのこと?難しいなぁ。 (2018年1月9日 14時) (レス) id: 5b005f25dc (このIDを非表示/違反報告)
寝夢 - どんどん解決に向かってきてる!!けど、終焉の少女って誰?!うーーん、やっぱり夢主ちゃんですかね?.....誰なんだ、? (2017年7月9日 8時) (レス) id: 0f597acb7e (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@復帰しました(プロフ) - エコロさん» おひさしぶりですー!!壊れ?!それは災難でしたね……(・д・`;) どうでしょう笑 さぁさぁもっと考えるのです!←笑 (2017年6月15日 13時) (レス) id: 98008e40b1 (このIDを非表示/違反報告)
エコロ - 神崎さん、お久しぶりです(( 3DSが壊れてidが変わりましたが気にせずに!! まさか、無名ちゃんが放送室の!?(( (2017年6月5日 20時) (レス) id: 520a9242e6 (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@復帰しました(プロフ) - えみさん» 感動系のお話を考えるのも好きなんです笑 何というか、考えさせられるようなお話に出来たらなぁと笑 ありがとうございます! (2017年5月28日 14時) (レス) id: 98008e40b1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2017年4月3日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。