【赤司征十郎】学校を駆け回れ！3【黒子のバスケ】

111. ページ18

.



ひまりさんが走りながら、あの時放送室前に居なかった人達に軽く説明する。
Aさんは、本当は学校になんて通っていなかったという事も、友達だったという記憶は作られたものだという事も。
また、一時的に戻って来られたのは僕達だけでAさんはまだあの学校に居る事も。



「ここ……！」



そしてある病室の前で止まる。
病院に入ってからは、他の患者さんの迷惑になるから走るのは控え、友人のお見舞いと称して早歩きでAさんの所へと向かった。



「お姉ちゃん！！」



病室の扉を開けて駆け寄るひまりさん。
そこには、白いベットの上で目を閉じて眠っているAさんが居た。
横に座っていた看護師さんが、息を切らして入ってきた僕達に驚いた顔をする。
看護師さんに、ひまりさんの姿は見えない。



当たり前だ、ひまりさんは存在しない女の子。
火事で死んでしまった子の１人、幽霊なのだから。



「A！ねぇA起きてっ……！」



桃井さんがAさんの肩を揺するも、Aさんは起きない。
やがて桃井さんは看護師さんに止められた。



「な、何なんですか貴方達は……、いきなり入ってきて！病院では静かにして下さい！それに何でこの子を」

「僕達はAさんの友人です」

「……え？友人……？……一之瀬Aさんは友達など１人も居ないはずじゃ……」

「……正確に言えば、友人になったのはつい最近だ」

「……はぁ、？何を言ってるんですか？この子は何処にも出掛けていないので友達など」

「……用事ならすぐに済む。僕らも多分、もうすぐでここから居なくなる、ひまり、他の奴らを呼ばれる前に僕達をもう一度、」

「うん、多分出来るよ、やってみる……」



赤司君が急かして、少し雑だけど火神君と高尾君達が他の医者を呼ぼうとした看護師さんを引き止めている間にひまりさんがAさんの手を握る。



「……ごめんね、お兄ちゃん、お姉ちゃん……多分次に神桜小学校に入ったら……もう出てこられなくなるかもしれない……ひまだって、今ここで力を使ったらもう２度とこんな大きな力使えなくなる……」

「……大丈夫だよ、ひまちゃん。ほら、俺らが看護師さん引き止めてる間にお願い。このままだと俺ら罪に問われちゃうから、こんな無理やり看護師さん引き止めちゃって……」

「ちょっと！離して下さい！ほんと警察呼びますよ？！」

「……出来た！ごめんね、お姉ちゃん今行くからね……！」



辺りは白い光に包まれた。


.

112.黒板に字を書きましょう。→←110.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す