恋愛のススメ〜北山の場合〜

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｢……わり｣


｢……北山さんのばか｣


｢ごめんって。俺、Aのこと

｢やっぱり北山さんなんか、大っ嫌い｣




最後に目が合ったAの目には、
涙がいっぱい溜まってた。




鞄を掴んで、出て行ったA。









…マジか。



言う前にフラれるとか。



前代未聞すぎる。






つか、そんなに俺の事嫌いかよ。







……だいぶヘコむ。








:
:







北山さんの部屋を出て、
エレベータのボタンを連打するけど全然来そうにないから階段で降りる。



数歩降りたところで、
我慢してた涙がボロボロと流れ出す。





｢…………っ、｣






何回も自分に言い聞かせたのに
期待しちゃいけないって。






なのに、

あの顔で見つめられたら
途端に心臓は早く動くし、

掠れた声で名前を呼ばれたら
耳が熱くなってくる。



たくさんの女の子にしてる事なんだって
分かってるのに。




北山さんと仲良くなって
自分だけが特別って
どこかで思ってたのかもしれない。




そんなこと、ありえないのに。




だからチャラ山が出たらスルーするって
決めてたのに。




どんなに高く壁を積んでもすぐに崩してくるんだもん。







仲の良い友達でいようとしたのに。






なんでキスなんかしてくるの。







ばかだよ、北山さんは。









まんまと好きになっちゃった私は

どうすればいいの？







:







お店の裏側から階段を上がろうとすると、
多分買い物帰りであろう横尾さんとバッタリ。



泣き腫らした私を見て、ぎょっとしてる。






｢……ミツじゃないよな？｣

｢ごめんなさい。
横尾さんの忠告無視しました｣


はぁ、ってため息着いた横尾さん。

来いよ、ってお店の裏口を開けた。

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