恋愛のススメ〜北山の場合〜

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｢どーする？｣

椅子に座った私に、鏡越しに聞いてくる。

｢結構切りたいかも。
でもお店に居る時は結べるくらいがいいな｣

｢そか｣

伸びっぱなしの私の髪の毛は、
肩の下ぐらいの長さで。

北山さんが髪の毛を触って、考えてる。


｢4〜5センチくらい、いってみる？｣

｢はい。ショートカットにならなければ｣

｢おけ。任して｣

ニヤって笑って
ケープとタオルを巻いてくれると
移動出来るコロ付きの小さなイスに座って私の髪をブロッキングしていく北山さん。


｢色味は？｣

｢んー、特に決めてないです｣

｢希望あるなら聞くけど、
無いなら俺仕様にしてもいい？｣

｢…オレ仕様って？｣

｢俺好みってこと｣

｢…まぁ、北山さんに任せます｣

｢んな嫌そうにすんなよ(笑)｣


という事で、
カラーは北山さんにお任せした。


俺好みって……

こういうの色んな女の子に言ってそう。

ていうか、確実に言ってる。

うん、絶対に。





｢そんな睨まないで？｣

｢睨んでません。てか見てないですけど｣

｢怖っ。優しくしてくれないと坊主にすんぞー｣

｢そしたら訴えます｣

んははって笑う北山さん。





｢昨日Aが電話くれた時さ、俺店にいたの｣

｢はい、｣

｢読モやってる子に頼まれて
あの時間までやっててさ｣

｢…はい、｣

｢終わったの0時だったしそのまま帰ったわけ｣

｢はぁ。｣


何が言いたい？


｢だから昨日は“そういうこと”してないよ｣

｢…そうですか｣


なんだ。

じゃあ電話の時に
後ろで聞こえた声はお客さんってことか。

って、
これ信じていいの？



｢信じられないって顔してるじゃん｣

｢信じてないですもん｣

｢うわ、ひでぇ(笑)｣


っていうか、
わざわざ私に言い訳とかする必要ないじゃん。

遊びたければお好きにどうぞって感じだし。


ただ私はそういう女の子達とは
一緒の分類にしないで欲しいってだけで。

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