恋愛のススメ〜北山の場合〜

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とりあえず昨日の勘違いしてるっぽいことを
説明したらめっっちゃ渋い顔してるA。

全然信用されてーな、俺。


んー、なんて言お。


ハサミを動かしながらゆっくり話す。




｢ほんとはさ、昨日店行こうとしたんだけど｣

｢…そうなんですか？｣

｢行けねーなと思って、電話したの｣

｢…なぜに電話？｣

｢なんか、会いてーと思ったらかけてた｣

｢………｣



あ、黙った。



｢この前のこと、本当に悪かったって思ってる｣

｢…いいですよ、もう｣

｢ごめんな？｣

｢はい。｣

｢つーことで、この後飯でもど？｣

｢はい？｣

｢寿司行こうぜー。回らないやつ｣

｢え？でも、｣

｢おし、終わった。ケープ変えさせてー｣


カラー用のケープに変えて、
カラー剤を配合してく。


それをAの頭に塗って、
タイマーをセットした後裏からグラスに注いだオレンジジュースを持ってきた。



｢はい、飲む？｣

｢え、コーヒーとかじゃなくて？｣

｢今それしかねーの｣


今日店休みだからな。
いつもはアシスタントの子が朝作ってくれてんだわ。


オレンジジュースをひとくち飲んで、
鏡の前に置いてある雑誌に手を伸ばそうとするからわざと遠ざけてやった。



｢え、なんですか？｣

｢なんか喋ろーぜ｣

｢や、いいです。これ読みたいし、｣

｢だめー。片付けマース｣


雑誌を纏めてラックに戻してやった。

せっかく2人なんだから、
距離縮めたいだろ？


なのにAは訳わかんないって顔で
眉間にシワ寄せて俺を見てる。

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