恋愛のススメ〜北山の場合〜

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Aがリクエストを聞いてくれるから、
とりあえず食べたいもん言ったら
カバンの手帳からメモを破って買うもんのリストを書き始めた。


それから家にある調味料とか調べて
酒も抜けた頃2人でスーパーへ。


俺がカートを押してAの後を着いてくと、
どんどん埋まるカゴの中。


この野菜は
こういうのを選ぶと美味しいんですよーってプチ情報までくれるA。


さすが料理人、
食材を選ぶのもめちゃくちゃ真剣だし。




なんか、楽しいな。



スーパーでデートすんの初めてだけど。






俺んちに戻ってきて、
買ってきた食材を袋から出す。


慣れた手つきで野菜の皮をどんどん向いてくAをカウンターから覗いてる。


それからすごい速さで野菜を切って、
下準備しながら作れるものは鍋にいれて火にかけてく。


見てて気持ちよくなるくらい手際が良すぎる。


これは横尾さんも手放したくないわけだわ。





感心しながら眺めてると、

｢北山さん、｣

呼ばれるからキッチンの方へ回る。



｢味つけ、どうですか？｣


小さなスプーンに
多分肉じゃがのつゆが入ってる。


それを俺の方に向けて左手を添えてる。



多分、
A的にはあーんしてるつもりは無いんだろうけど、俺はそれを口で迎えにいった。




｢うまいよ｣

｢…甘すぎません？
私結構甘めが好きだから｣

｢んーん、うまい｣

｢じゃあよかった｣


ふわって笑って、
またテキパキと動き出す。

と、思ったらまたくるってこっち向く。



｢あ、北山さん｣

｢ん？｣

｢お魚、焦げないように見てて｣

｢あーい｣





またしても、笑ってくれた。









やべーな。



俺、多分Aのこと好きだわ。

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