【小説版】咲き乱れるは心の花

笑顔になって【功薙】 ページ28

「ごめーん、忘れ物したわー。先行ってて」

入学式の後、仲良くなった友達と歩いてた。
そこで俺がそんなことを言ったからみんなはなに忘れ物したんだよwとか、早めに戻ってきてねとか少し呆れた顔をして送り出してくれた。

みんなと別れた後、教室に向かっている新入生の流れに逆らって行動の方へ走る＿＿＿。


行き先はもちろん講堂だ。俺はそこしかわかんねえし。
着いたときにはやはり人はそんなに居なかった。

さて、忘れ物……ではなく探し人はっと。ぐるりと見渡し、見つけたのでそろりそろりと歩いていく。

「ゆーめさきまりさんっ」
わっと驚かす感じで肩に手を置くとびくっと肩が上がって恐る恐る振り返ってくれた。

「あの、なんでここに居るんですか…? …もう、みんな教室に向かったはずじゃ…」

「んー、戻ってきたんだよ。退場するときすごい悲しそうな顔してる子がいて、まだ居ないかなーって来てみたの。………あ、俺、観砦功薙ね」

「わたしは夢咲茉莉です。えっと……功薙くんはわたしのために来てくれたの…? なんで…?」

「んー、まりりんでいいよね。あのね、まりりん、女の子は笑顔が一番似合うんだって。
一番目のにーちゃんが言ってた。悲しそうな顔にはさせるなって、何回も何回も言ってたの。昔は聞き流してたけどさ、今はよくわかる。笑顔が一番似合うんだよ。だから、かな? 俺がまりりんのとこに来た理由」

1人でつらつらと喋ってて慌ててまりりんの方を見てみるとさっきとは違い少し笑っていた。

「やっぱ笑ってる方がかわいーじゃん」

「えっと、今わたし、笑ってた?」

「うん。自然な笑顔。すっげーかわいいの」

「かわいいとか恥ずかしいから、やめて」

少し顔を赤くして言った。マジで恥ずかしがってるやつだ。ねーちゃんたちにもストレートだってよく言われるもんなあ。

「まりりんがなに抱えてんのかわからないけど、ちょっと俺に語らせてね」

抱えてんのかって言ったときに少し悲しそうな顔してすぐにさっきの顔に戻っていいよって言ってくれた。
さて、語りますか。

「おし、じゃあまずは.....

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