【小説版】咲き乱れるは心の花

期待を抱いて【茉莉】挿絵 ページ19

温かくも騒がしい雰囲気の入学式の中。


人と関わった事なんてほぼなかった私にとって緊張と不安でいっぱいなのに…


「(もう既に目立っている子もいる…)」


華やかでユニークな人…露出度が高い服を着ていて注意されても堂々としている。


ついさっき女の子をおんぶした状態で走ってきたのであろう男の子。



何もかもが彩られて鮮やかに眩しく見えてきたと同時に

一気に怖くもなった。



「えー、これで入学式の閉会式を終了します。一年生から退場して下さい」


教室へ戻ったら自己紹介をして委員会決めなどもしなきゃいけないらしい。


…無理。


「(自己紹介とか必要あるの…！？逃げたい隠れたい穴があったら落ちたいそして出たくない)」


退場する時の音楽が流れても私の頭はお構い無しに信号が飛び散っている。



ドンッ


「あ…ごめんなさ…」


「わぁああ！すみませんごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいこんな大事な時に人とぶつかるなんて人として最低一生の不覚」


え…


な、に…このすごいネガティブな子…


というか…


「妾が何を着ようとも妾の自由だ。それに目立つからすぐに顔も覚えられるだろう。」


「意味がわかりません。とにかくこんな大事な入学式で恥を晒すのは…」


「恥とは何だ恥とは！」




………。



この学園は何だか少し不思議な感じがする…


個性があり、美しさと強さを兼ね備えた花達(ひとたち)がいる。



此処に居る人となら────────────────




怯えず真っ直ぐ進めるかもしれない。



あの時の様な空虚感と孤独は──────




『そこに居るだけで何もできない子なんて此処には要らないのよ？』




ズキッ…






もう嫌だ───────────────

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