128 親心 1 ページ37
「あら？あなたは……
助けてくれた生徒さん？」
中に入ることを躊躇っていた病室の前
後ろから声をかけられて振り向いた先に居たのは
「ミチエさん……。」
廊下の手すりに掴まりながらおぼつかない足取りでこちらに近付いてくる
慌てて手を差し伸べると
「ありがとう。先生が動いたほうがいいって言うから……。」
と私の手をとってくれた。
ベッドサイドまで付き添って行くとミチエさんは
「はぁ〜ただ歩くだけでも疲れるわ。自分の体じゃないみたい。」
とベッドに腰を下ろした。
「あの、これどうぞ。」
と片方の手に持っていたお見舞いのお花を渡す
「あら素敵なお花、ありがとう
えーと、ごめんなさい私、命の恩人なのに貴方の名前も知らないの……。」
「あ、こちらこそ突然来て、名前も名乗らずすみません！私、AAといいます。」
「AAさん、その節は本当に助けてくれてありがとうございました。」
そういってミチエさんは頭を下げた。
「いえ、私はただそこに居合わせただけで、救急車の手配とか連絡してくれたのは全部相葉君ですから。」
「そうね、相葉君。
いつも学校で会うと必ず声をかけてくれるから、学校の生徒さんで唯一名前を知っている子なの。相葉君がいなかったら今ごろどうなってたか……。本当に感謝しても仕切れないわ。
今度会った時にちゃんと御礼を言いたいわ。」
「相葉君、今日はアルバイトがあるようで……」
相葉君とお見舞いの話をしたわけじゃなく、私が勝手に来ちゃっただけなのに、ミチエさんに取り繕うように伝えた。
「アルバイトなんて、本当に頑張り屋さんね、相葉君のお母さんもいい息子さんを持って幸せね。」
「……ミチエさんにだって、素敵な息子さんいますよね？」
「……病院に運ばれた日に会った？
翔って言うのだけど
相葉君とは正反対でね、
実家になんてもう何年も帰ってこないし、連絡さえもくれないのよ。」
そう言って苦笑いしたミチエさん
その眼差しはどこか寂しそうだった。
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ゆいねごと(プロフ) - sky57421970さん» コメントありがとうございます！読んで下さってる方の感想をきく機会がなかなかありませんので、とても嬉しいです。更新スピードは遅くて心苦しいですが、より楽しんで頂けるよう頑張ります！ (2019年2月23日 22時) (
レス) id: 2da354f69e (このIDを非表示/違反報告)
sky57421970(プロフ) - 初めまして。更新されるのを楽しみに待ってます。物語の展開が色々と変わるのでわくわくしながら読ませていただいています。これからも応援しています。 (2019年2月23日 6時) (レス) id: 19356e08eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やわらかなあたま | 作成日時：2018年9月14日 11時
