みえないモノをみる。 【文スト】

白虎と相対＿＿壱 ページ13

目覚めると、其処は社長室だった。＿＿いや、えっ。えっ待って。私昨日社長室で寝たの？諭吉さんに間抜けな寝顔晒して？



『ちょっと一辺死んできます！』

「「「おい何があった!?」」」












窓から飛び降りようとした私を必死に止めてくれた事務員さん達。感謝してます。でも止めてくれなくてもよかった。



『つうか今何時……？』

「朝の七時ですっ。凛さん、聞きましたよ。窓から飛び降りようとするなんて……」



一体何があったんです、と訊いてくる麻衣。私はそっと目を逸らした。



「あ、それと」

『ん？』

「太宰さん達に凛さんが来てるって伝えておきましたよ。凄い吃驚してました」

『はは、そりゃあな……』



太宰とは、アレ以来だからなー……。うわあ如何やって再会しよう。

私は麻衣が出してくれたココアを飲む。熱っ。



『麻衣、熱いよコレ』

「あたしを心配させた罰です！」



麻衣は怒り乍ら自分の机に戻って行った。

＿＿だとしたら、随分と緩い罰だ。思い乍らもう一度ココアを飲んだ、あちっ。











「俺の！ 机で！ 寝るな、莫迦ッ！！」

『うわあっ!?』



頭を叩かれた衝撃で目が覚めた。私は目を白黒させて、私を叩いた人物を見上げる。

どっ……！



『独歩！！ 相変わらずだなぁ、女性(レディ)に優しくするのは基本だろう？』

「れでぃ……？ 一体何処にそんな人が居る？」

『ガチトーン止めて下さい私が悪かったで御座います』



独歩はふん、と鼻を鳴らした。



「久し振りだな。まさか逢って早々お前を叩く羽目になるとは思いもしなかったぞ」

『私もだよ……』



絶対私の事女だと思ってないよね、此奴。



『何、三年前君の手帳の表紙を魔法少女のシールだらけにして"妥協♡"ってしたの未だ怒ってる訳？』

「……ほぉぉぉぉん？ 矢張りあれは貴様だったのだな？」



独歩が地獄の底から響くような声で云った。

……あっ、これヤバげなヤツ？



「……何か弁明は？」

『ただの暇潰しと云うか、八つ当たりと云うかそんな感じでやっちゃいました』

「許すか阿呆！！」



私は独歩の怒鳴り声を後ろに慌てて探偵社を飛び出した。相変わらず怖いのは変わってなかった。

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