みえないモノをみる。 【文スト】

マフィアと再会＿＿弐 ページ24

莫迦は放っておいて、次は黒蜥蜴かな。



『どーも、……っす』



最初は結構ハイテンションで云った私だが、部屋に居る人を見てテンションはダダ下がりになった。

霊が。ヤバい。何がヤバいって、質は全然大丈夫なんだけど、量がヤバい。銀ちゃん暗殺者だからかな。



「──お久し振りです、凛さん」

「……」

「え……誰すか？」



其処に居たのは柳(りゅう)さんと、銀ちゃんと、後知らない男の子。何か髪の毛がめっちゃツンツン。

へえ、新入りかあ。



『お久し振りですー、此方の子は？』

「新入りですよ。……おい、挨拶を」

「あ……立原道造っす」

『道造。道造君。……んー、まあ此れでいっか』



ホントはミッチーにしようかとしようかと思うけど、一文字間違えたら大惨事になるので止めておこう。

私はニコリと笑って、道造君に片手を差し出す。



『道造君、宜しく！』

「よ、宜しくお願いします」



ちょっとよそよそしい道造君。何だなんだ、照れてるのか？

と、其処まで考えて気づく。私自己紹介してねーや。



『小野凛だよ、マフィアには入ってないけど十年来の付き合い。騒ぎ起こしても気にしないでね！』

「は、はあ」



ふと、私は道造君を視る。

そのまま問いかけた。



『君……身近な人、亡くしてる？』

「え？ い、いや」

『じゃあ、何か仲がいいお兄さん的存在居る？』

「いえ……何でそんな事訊くんすか？」



首を傾げる道造君は、本当に何も知らないようだった。

ソレはよく判らない。異能を使ったらもっとよく判ると思うんだけど……何なんだ、アレ。



『ううん、何でもない！ 何となくだよ、道造君！』

「はあ……」



私はお土産を柳さんに渡して、『後で皆に配っておいて！』って云っといた。我ながらクズですな。

バイバイ、と皆に手を振る。手を振り返してくれたのは、柳さんと銀ちゃんだけだった。


──違った。


道造君も、そっぽを向きつつ、私に小さく手を振ってくれていたのだった。










(彼女には手を出さないで下さい)


(私でさえ勝てるか判りません)


(ただ……いい人、ですよ。あの人は)


(何故此方側に居るのかさえ判らないぐらいですよ)

安息の時間＿＿壱→←マフィアと再会＿＿壱

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す