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第22話:虎と羅生門。 ページ22

「いっ......」

背中に鋭い痛みが走った。
貨物船の中に投げ入れられたのだ。

「っ、あんたは...!」

「ふん」

Aの目の前には堂々と立つ黒い長外套の
青年の姿があった。
口元を押さえ、咳き込んでいる。

「私をどうする気...」

「売る。それだけだ」

「売るって...私、何もしてないよ
何も持ってない...!何も...なのに」

どうして...

私は何も持っていない。

家族には物として扱われていた。

両親のストレスの発散のために虐待も受けた。
ご飯だって食べられなかった。

言うことだってちゃんと聞いていた。
何かを無理に飲み込まされたことだって...

お前は悪い子だって...

だから、良い子にしていれば、いつかちゃんと
愛してくれると思った...でも、

結局 捨てられただけだった。




そう言えば、何を、飲み込んだんだっけ...。




船が出港して、動き始めた時だった。
ドン、と衝撃音がした。

「芥川あぁぁぁあ!」

敦が叫びながら芥川に飛び掛かる。
それを芥川は軽々とかわした。

「ふん、随分と早い登場だな、人虎」

「黙れ、お前は許さない!」

絶え間なく込み上げてくる怒りを感じて、
敦は芥川に爪を向けた。

「忘れたのか人虎、
現在ポートマフィアと武装探偵社は休戦中だ。
それを承知しての行動か」

「お前が先に手を出したんだろ」

「僕はあくまで職務を全うしているだけだ。
探偵社に手は出さずとも、仕事はする。
その女子、武装探偵社の一員ではなかろう」

「っ...」

「異能力、独歩吟客...」

突如として響いた声、
それと同時に投げ入れられたのは手榴弾だった。

「国木田さん...!」

「勝手な行動は控えろ、敦。
...その娘は返してもらう」

閃光弾を投げ付けると、国木田はAと
敦を抱えて下に用意しているボートに飛び降りた。




「俺だ。...救出は成功した」

≪あー、善かった善かった≫

「貴様は何もしとらんだろうが」

≪え〜、失礼だな〜≫

港に無事に辿り着くと、
国木田は即探偵社に連絡を入れた。

第23話:守るから。→←第21話:走れ。



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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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緑野アリス(プロフ) - 粋さん» コメントありがとうございます!これからも精一杯頑張らせて頂きます! (2018年6月27日 19時) (レス) id: 1ea7b4cf06 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とてもこの作品好きです!夢主ちゃんもとても可愛いです。更新頑張ってください! (2018年6月27日 19時) (レス) id: 232d77c3ac (このIDを非表示/違反報告)
緑野アリス(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます!これからも精一杯頑張らせて頂きます! (2018年6月12日 20時) (レス) id: 1ea7b4cf06 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - はじめまして!さくらと言います!このお話とても面白いです(*^^*)これからも頑張ってください!応援してます!このお話大好きです(*^^*)出来たらコメント返してくれると嬉しいです!!!おこがましくてすみませんスライディング土下座 (2018年6月12日 20時) (レス) id: 05de94b2f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緑野アリス | 作成日時:2018年6月12日 17時

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