4話 ページ5
高校2年生の夏休み
そろそろ進路とかも関わってくるからちゃんと勉強しとけよって真ちゃんに怒られて、宿題や課題が終わらなかった私はまた和くんに泣きついていた
「ねーーーなんでこれこうなるの?」
私がペンを指で回しながら質問しても返事がない
和くんは横になりながらスマホで動画を見ていた
「かーずーくーんー」
私が呆れた声で名前を呼ぶと、目の前にコトっと音を立てて冷たいお茶が現れた
その音に反応して顔を上げると私服の『緑間先生』
「どれ、見せてみろ」
机に手をついて私の横に座る真ちゃんの顔は、今日は正真正銘緑間先生の顔だった
どくんと胸が鳴って
学校では絶対にありえない距離感に頭の中を持っていかれそう
横では呪文のような説明が真ちゃんの低音ボイスが私の鼓膜を優しく揺らしてきて
私も女の子になってしまった、と自覚した
昔は何も考えずに抱きついたりできていたのに
あの頃の私に戻りたいなんて思ったりする
「分かったか?」
私の顔を覗き込む目はとても優しくて
胸が苦しくなった
「うん、ありがと」
私がお礼を言うと同時に和くんは動画を見終わったようでイヤホンを外して、
ソファに横になっていた体をゆっくりと起こして口を開いた
「マジでA女子になったなぁ〜」
その言葉に私も思わず吹き出してしまって
「なにそれ、めっちゃおじさんくさいこと言うじゃん笑」と和くんに言い返した
「子供じゃないんだなぁ」なんてまじまじと私の顔を見ながらそんなことを言うから
私もなんだか小っ恥ずかしくなって
思わず「高校生だもん!!」と声を荒げてしまった
和くんは「男2人の家に通うのも、もう危ない年齢だよな」と呟きながら天井を見上げて
さりげなく真ちゃんに目をやった
そんな和くんをみて、私が「えーなんで男2人の家通っちゃダメなの?」と首を傾げると、和くんは頬を膨らませて「大人の世界ではいろいろ変なことに発展しちゃうものなんですー」と笑った
成長した…から、か
たしかに自分を見ても昔より全然胸もお尻も成長して
友達の中にはもうハジメテを経験した子もいて
自分もいつまでも子供じゃない、その現実に叩きつけられた気分だった
真ちゃんは相変わらず黙りながら私の教科書に目を通していて
この関係をそろそろ終わらせなければいけないことには気がついていないのだろうか
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M - 安定の面白さ。黄瀬じゃないのに、、、今まで緑間普通だと思ってたのに、、、今日、りんさんが書いてくれる緑間に惚れましたw更新頑張ってください! (2020年12月6日 14時) (レス) id: 5e52fa6283 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2020年12月6日 10時