36話 ページ37
Aside
すごく楽しみにしていた修学旅行もあと1日で終わりという現実が突きつけられ、最後の夜くらい友達とおしゃべりしたいと言う欲が顔をチラつかせる
「zzz…」
しかしそんな想いと裏腹に、とても清々しいほどの綺麗な寝息を立てるうららに私はため息をついた
本当は、話したいことがたくさんあった
『俺、好きな人がいるんだ』
オレンジ色の蛍光灯が照らすホテルの小さな部屋のベッドの上で、目を閉じるとフラッシュバックするさっきの告白
予想外だった
驚きで黙っていた私に、彼は必死にいつから好きだったかとか、何が理由で好きかをたくさん語ってくれた
でもそれも全て耳に入ることはなく
たった最後の大事な部分、
『俺と、付き合ってください』
たったその一言だけが私の心臓を縛り上げた
思い返せばため息が出るし、まるで夢だったかのように感情がふわふわと浮遊する
『…えっと、…』と口を開けた私に、彼は『返事はいつでもいいんだ』とつぶやいた優しい声が脳裏によぎって
紛れもなく幸せなムードで、私の憧れていた告白の形だったはずなのに
思い返すと呼吸が荒くなって心臓が痛くなる
…もし断ったら、仲の良かった菅原とは友達に戻れない
だから、告白も恋愛も嫌いなんだ
自分を思い詰め疲れた頃に、気がついたら私も深い眠りについていた
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M - 安定の面白さ。黄瀬じゃないのに、、、今まで緑間普通だと思ってたのに、、、今日、りんさんが書いてくれる緑間に惚れましたw更新頑張ってください! (2020年12月6日 14時) (レス) id: 5e52fa6283 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2020年12月6日 10時