緑間真太郎は恋にも鈍感 (ページ19)

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18話ページ19

どうやら卒業する3年生対2年+高尾緑間で試合をしていたらしい

わたしが今まで見てきた真ちゃんや緑間先生でもどちらでもない新しい緑間真太郎に心がすごく踊って

思わず見入ってしまった

日本代表のチームで頑張ってる和くんももちろんすごい技術だ

でも、やっぱりわたしには真ちゃんしか見えなくて
試合が終わるまで、体育館のドアの端に座らながらずっと眺めていた

おそらくバレンタインのあの時から話していない

授業でも指名される時くらいしか名前を呼ばれないし、廊下もなんとなく先生とすれ違う時間は避けていた

そんな久しぶりの緑間先生はわたしの眼には眩しすぎて

諦めると誓ったわたしの心をナイフで抉るように昔の思い出をグサグサと思い出させた

半ズボンなんてほとんど見たことがないから、足をつくたびにぎゅっと閉まるアキレス腱に胸が痛くなったり

口から出る熱い息に思わずキュンとしたり

わたしのHPは限りなくゼロに近づいていた

そんなころ試合終了のブザーがなって、選手たちの整列と挨拶が終わった

試合が終わるとギャラリーも自然とはけていき、私はタオルで顔を拭く和くんが近くに寄ってきたタイミングでなんとなく声をかけた

すぐに気がついてくれた和くんは私に近寄りながら「久しぶり！」なんて手を振って

私も「久しぶりだね」と笑った

すぐ部活終わるからちょっと待っててよ、と言われてその場で20分ほど待機をして

着替え終わった和くんが焦った様子で体育館から出てきた

「真ちゃん部活の三送会のことで話さなきゃいけないらしくて、少し遅れてくるってさ」

靴紐を結ぶために屈んでそうつぶやいた和くんの目には
私のこの複雑な表情は映っていなかったのが幸いだ

「あー、…そうなんだ、おっけ」

私の返答に少し不思議に思ったのか、ん？と一旦顔を上げた和くんはそのまま立ち上がって何かを思い出したような顔をした

「そう、俺結婚すんの」

？

「ええっ！？！？！」

私があまりにも驚いて目を見開いて口をパクパクすると、和くんは目の前でニカニカしながらVサインをしていた

「婚約パーティーは呼ぶからな～」と嬉しそうな和くんを見て、私もだんだん笑顔になって

「おめでと～～～！！」と胸元で小さく拍手をした

私の横にさりげなく並んだ和くんは、「んで？Aは～～～？彼氏は～～？？」と私をからかってきて

私は思わず「い、いないよ！」と声を荒げた