検索窓
今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:60,887 hit

12話 ページ13

すると真ちゃんはそのまま理科準備室の方に歩いて行って…


「え、ちょ、…」

私は思わず席を立って理科準備室へかけていった


扉を抜けると、真ちゃんは色々な薬品の棚をいじっているのが視界に入ったと同時に、背中のドアがパタンとしまった音が聞こえた


「準備室は生徒立ち入り禁止だぞ」

そう言いながら棚を閉める真ちゃんは
いつだってぶっきらぼうで

優しくない言葉ばかり



「わ、分かってるよ」



私はドアのぎりぎりに立って、「ここならいいでしょ」と言いながらポッケから小さなチョコレートと手紙を出した


「毎年ありがとうなのだよ」


まだこのチョコが誰のものなんて言ってないし、ただ取り出しただけなのに真ちゃんは私の前に歩いてきて


私はプイッと顔を背けながらチョコと手紙を渡した


「1人目だ」

なんてあまり見せない笑顔を私に見せる真ちゃんに、私は「自分で断ったくせに」と頬を膨らませて


それを見た真ちゃんは私の頭に手を置いて「1人で充分だから断っただけだ」と優しい声で囁いた


…緑間先生じゃない、真ちゃんの声だった

学校でボディタッチはかなり危険視されてるから、ほとんど私に触れることはなかったのに

こういう時だけ、私の頭を撫でてきて




っ、






私は小さく息を吸って、「なんで、私にだけ優しいの!」と少し声を荒げた


下を向いていたから真ちゃんの顔は見えない


少し沈黙が流れて、真ちゃんも返答に困っていることを悟った


「…さあな」

降ってきた言葉はなんの答えにもなってなくて

思わず歯を食いしばって顔を上げた


真ちゃんは少し私と目を合わせた後、すぐに後ろを向いて準備室の奥へ進もうとして




私はその真ちゃんの白衣を引っ張った


「どうしたのだよ」


いきなり私が変なことばっかり聞くから、真ちゃんも困ってるんでしょう

だからそんなふうに、少しやるせない顔で大人びた目線で私を見下ろすんだ


私は白衣から手を離して、「真ちゃん」と、名前を呼んだ


「…だから、学校では…「明日から、真ちゃんって呼ぶのやめるから」


困った顔の真ちゃんの言葉を私が力強く遮ると、真ちゃんは少し戸惑った顔をしながら私を見た


「…明日から、緑間先生って呼ぶから、」



泣かないつもりだったのになぜか声が震えて
それに気がついた真ちゃんの目が少し悲しそうに見える


「…最後に、聞いてほしいの」




小さく息を整えて

口を動かした





「ごめんね、ずっと真ちゃんのこと好きだった」

13話→←11話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
109人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

M - 安定の面白さ。黄瀬じゃないのに、、、今まで緑間普通だと思ってたのに、、、今日、りんさんが書いてくれる緑間に惚れましたw更新頑張ってください! (2020年12月6日 14時) (レス) id: 5e52fa6283 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りん | 作成日時:2020年12月6日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。