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142話 ページ43

緑間side



『真ちゃんも会えてねぇだろ?びっくりするぜ、マジ』


嬉しそうに話す高尾に、何も言い返せなくなった俺は
少し考えた後静かに口を開いた

「そうだな、」


会えてないと思われていてもしょうがない
しかし自分から、かなりの頻度で会っているなんて口にできるわけもなく
俺はそっと開いた口を結んだ


「美容学生ってすげえよな、あんなに変わっちまうんだって思った」


「そうか、」



嬉しそうな高尾とは反対に、どんどん返事が薄っぺらくなっていることに気が付いたのか
高尾もそっと口を結び、静かにグラスを机に置く


「…」


さっきの心地いい沈黙とは比べ物にならない、何か重い空気が流れていることに気が付いた俺は
それを誤魔化すようにそっとグラスを手に取った

「なぁ、俺に、隠し事か?」


やはり、高尾には隠せない、初めからわかっていたことなのに
ぎくりと反応した体のせいでグラスが音を鳴らす

「…そういうつもりでは、なかったんだが」

小さくついたため息は周りの宴会の声にかき消されていき
俺はそのまま勢いで水を口に流し込んだ


「…なんで、Aがお酒弱いこと知ってんだよ」


水を飲みグラスを置いた俺に目を合わせないまま高尾がそう口にして
俺の喉仏がごくりと揺れる

「真ちゃんがあんまり飲み会とか行くわけじゃねえの知ってるし、」


そして高尾はだんだんと小さくなる声で続けた

「Aの飲み会の後、迎えに行ってんのも知ってる」

高尾がそう口にした瞬間、俺の口からはもう認めるしかないと悟った大きなため息が漏れて

俺もそっとくちをひらいた

「…最近、色々あったんだ」



俺は、高尾に全てを説明した


迎えに行っていたこと、酔い潰れた日は俺の家に持ち帰っていたこと、合コンに行くことをさりげなく言われたこと、心から喜べなかったこと…


どこをとっても俺がただあいつに執着しているだけで、あいつは俺から離れるべきだとわかっていること

「…合コンの日は迎えに行けないぞ、って言ったら、そういうことじゃないって怒鳴られたのだよ」


俺が話し合えると同時に高尾は机に崩れ落ちながら大きなため息を吐いて

俺はそんな姿を見て何も言えずに口をとじる

「…で、?」


まだ終わりじゃねえだろその話、とでもいいだけな高尾の声に、さらに俺は説明をつづけた

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りん(プロフ) - Mさん» んもーーそろそろクライマックスですよ〜ぅ!!心の準備はいいですかぁぁぁぁぁぁぁっっ笑 (2021年5月28日 9時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
M - というか!!!今日のなんですか。あれは、あきまへんよ。あんなとこで止められたらワクワクしすぎて吹っ飛びます。余裕で宇宙ぐらいまで飛んでいってしまいます、、、www更新待ってます(о´∀`о) (2021年5月27日 20時) (レス) id: fb481de1a8 (このIDを非表示/違反報告)
M - 消さないでくださいね?!絶対消したらダメですよ。自分めっちゃ楽しんでるんで、、、消されたら辛いです(´;ω;`) (2021年5月27日 20時) (レス) id: fb481de1a8 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - Mさん» いや〜、自分でも黒歴史積み上げてるだけだなぁって思いながらやめられなくなりました。恥ずかしさで死にたくなったらいつか消します笑笑笑笑 (2021年5月23日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
M - コロナ、最近すごいですよね。。。全国的に。いっつもニヤニヤしながら読ませて頂いてます。なんだろう。やっぱ、りんさんの選ぶ言葉とか書き方にすごく惹かれます。更新待ってます(о´∀`о) (2021年5月22日 1時) (レス) id: fb481de1a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2021年4月13日 10時

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