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84話 ページ35

普段より甘い雰囲気を纏った真ちゃんが、私の髪を優しく撫で上げて

少し熱い吐息を吐く



「お前の、去年のあの言葉の意味をちゃんと理解していなかった」


今までなかった心の距離感に心臓がありえないほど騒いでいて
真ちゃんの言葉を一つ一つ聞いている余裕がない


「今年のチョコは、どういう意味だ」


真ちゃんの確信をつくような言葉に、私の体はわかりやすく反応をして
脳では、今好きと言うべきとわかっているはずなのに
口が固まってその一言が出てこない


今言ったら、関係が崩れてしまうのではないか、

今言ったら…、嫌われてしまうのではないか、


「…えっと、…」

そんなことばかりが頭の中をかけめぐって
私はそっと下を向いた


それに気がついた真ちゃんはまた小さくため息をついて

「悪い、」と言葉を漏らす


「あと1ヶ月でお前が卒業すると思うと、何故か心が騒いでな、俺らしくもない」


真ちゃん、なんでそんなことを今言うの

真ちゃん、その言葉はどう言う意味ですか

真ちゃん、

好きだよって言ったら、真ちゃんはなんで言葉を返してくれるの


「チョコ、おいしくいただくのだよ」


頭をかいて寄りかかっていた壁から体を離して
真ちゃんは私のチョコレートを大事そうに見つめる


そして彼はそれが帰る合図だと私がわかるように、そっとサンダルに足を通した

ガチャっとドアが開いてまた風の音が私たちの空気を壊していく


今、この瞬間がとても特別に感じた私は
そっと、真ちゃんへの思いを存分に込めて



ゆっくりと彼の瞳を見上げた





メガネ越しでもわかるほど少し揺らいだ彼の目は
しっかりと私を捉えていて



真ちゃんの熱い吐息が聞こえたと思ったら、真ちゃんはゆっくりとドアを押し開けていた手の力を抜き、

私のすぐ後ろの壁にもう片方の手をついた


覆い被さっているこの状況は
人生で初めてで


真ちゃんの瞬きの音も聞こえてしまいそうなほどの距離に心臓が高鳴ったとともに

バタンとドアが閉まりまた二人を静寂が包み込む



今までに一度も見たことがない真ちゃんの感情が少し乱れた顔

その顔にまた下腹部がきゅんっと跳ね上がって
真ちゃんの整った顔がゆっくりと私に近づいて息を呑んだ



私、もしかして…


今は、生徒じゃなくて…ちゃんと女の子になれてるかな






唇が重なりそうな距離感に感じたことのないドキドキが体を駆け巡って

さらに鼻をくすぐる真ちゃんの匂いに自分が乱れていくような気がした

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りん(プロフ) - ぱなおさん» メッセージいただいたら書くしかねぇ!ってなりました!この小説はサクッと終わる予定なのでサクッと書きますね笑最後までお楽しみいただけたら嬉しいです! (2021年4月5日 9時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - りんさん» わー!!返信嬉しいです、更新もありがとうございます( ; ; )いつまでも待ち続けますので無理せずに更新してくださいね!!( ; ; ) (2021年4月5日 0時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ぱなおさん» ぱなおさんありがとうございます( ; ; )最近リアルが鬼忙しくて投稿が滞っておりますが、終わる気はさらさらありませんので頑張って書きます!!これからもよろしくお願いします( ; ; ) (2021年4月4日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - 最高すぎて一気読みしました!!続き待ってます( ; ; ) (2021年4月4日 1時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2021年3月4日 11時

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