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83話 ページ34

バタンとしまったドアのおかげで風の音も止み、静寂が二人を包み込む

「…えっと、その、」


夜の玄関の光はとても淡く、ただでさえかっこいいだけの真ちゃんは
本当に大人の男の人なんだと改めて感じさせるほど魅力的だ

「上がれ」


「あ、…ううん、玄関でいいの」


ぶっきらぼうにつぶやく真ちゃんの声はやっぱり優しくて、でもその誘いにのったら自分自身が全部壊れて吐き出してしまいそうで

私は小さな声でここでいいの、と繰り返した


「…和くんと、真ちゃんに、チョコ作ったの」


下を向いてカバンに手を突っ込んで、さっきも出したチョコレートを掴む

真ちゃんの吐息さえ聞こえてしまいそうなほど静かになった玄関で、衣服が擦れる音だけが響き

私が静かにチョコレートを差し出すと、真ちゃんはそれを静かに受け取ってくれた


「…学校で、渡そうと思ったけど、、タイミングなくて諦めて和くんのお家行ったら、…和くんが真ちゃんの家まで送ってくれて」

か弱い声で続ける私に、真ちゃんは優しく「ありがとうなのだよ」とつぶやく

しかし緊張で私はその表情を汲み取ることはできず
ブンブンと首を振ることしかできない

すると真ちゃんは小さく息を吸って、不安混じりの優しい声で続けた


「去年、最後って言われたから、貰えるなんて思っていなかった」


「…っ、」


今まで1年間、一度もそのことに触れてこなかったのに

いつも余裕な真ちゃんが珍しくそんなことを口にして

「…あの、その、」


私は動揺しながらも、ゆっくりと顔を上げた


私の目に映る彼は、学校でも私生活でも見たことのないような一人の男の人の顔をしていて

女性の本能で下腹部がきゅっと小さく反応する

今この一瞬を生きているはずなのに1秒1秒が夢みたいで
現実味のない時が流れていた


「高尾には、あげるために家まで行ったのか」


「…ぇ、?」


真ちゃんらしくない言葉と、真ちゃんらしくない声

それって、俺の家には初めから来るつもりじゃなかったのか?って言ってるのとおんなじじゃ…


「えと、その、初めから2人にはあげるつもりで…」


言い訳のようにまた下を向いて小さくつぶやいた私に
真ちゃんは優しく手を伸ばす


そしてその手は、私の髪を優しく撫でた






真、…ちゃん?

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りん(プロフ) - ぱなおさん» メッセージいただいたら書くしかねぇ!ってなりました!この小説はサクッと終わる予定なのでサクッと書きますね笑最後までお楽しみいただけたら嬉しいです! (2021年4月5日 9時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - りんさん» わー!!返信嬉しいです、更新もありがとうございます( ; ; )いつまでも待ち続けますので無理せずに更新してくださいね!!( ; ; ) (2021年4月5日 0時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ぱなおさん» ぱなおさんありがとうございます( ; ; )最近リアルが鬼忙しくて投稿が滞っておりますが、終わる気はさらさらありませんので頑張って書きます!!これからもよろしくお願いします( ; ; ) (2021年4月4日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - 最高すぎて一気読みしました!!続き待ってます( ; ; ) (2021年4月4日 1時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2021年3月4日 11時

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