78話 ページ29
「寒いし、入って入って」
和くんの家に通いすぎたせいですっかり仲良くなった奥さんに手招きされ
私は静かに靴を揃えた
「お、お邪魔します」
「和成〜、Aちゃん来たよ〜」
階段に向かって奥さんが声をかけると、上から緩い返事と物音が降ってくる
そして奥さんはそのままくるりと私の方を向くと、「オレンジジュースとリンゴジュース…か紅茶?何飲みたい?」と優しく微笑んだ
「…あ、じゃあオレンジジュースお願いします」
私が返事をすると、奥さんはまた優しく微笑んで「はーい」と呟き台所へ消えていった
奥さんについていくようにリビングに入り、あったかい部屋に思わず声を漏らす
すると奥から降りてきた和くんが、小さく手を振りながら私に声をかけた
「いらっしゃいいらっしゃい」
「ごめんね、オフだったのにお邪魔しちゃって」
小さく謝った私に、和くんはいーのいーのと笑って
カーペットに座っていた私の向かいにどかっと腰掛ける
「今年はチョコくれるなんて、どんな風の吹き回し〜?」
「…き、去年は忙しくて渡せなかったの!!」
へぇ〜とニヤニヤ笑う和くんにはやはり全てお見通しのようで、私の顔はどんどん赤くなっていく
「俺本命になったってことでおっけ?」
「違うってば!!!!もー、、」
私はどこまでもふざける和くんを流しながらカバンに手を入れて、チョコの入った箱を二つ取り出す
そして、少し深呼吸をして口を開いた
「…これ、奥さんと二人で食べて」
私の言葉に和くんは少し驚いて
ちょうどジュースを出しに来てくれた奥さんも同時に驚いた顔をしているのが目に入る
「「えっ」」
綺麗に重なった二人の声に私が微笑むと、和くんはだんだんと鋭い目つきになっていき
「どういうこと、?」と私を問い詰めた
「ん、いやぁ、…真ちゃんにも作ったんだけどね、…今日渡すタイミングなくて。」
だんだん沈んでいく視界
私が小さくつぶやく声は明るかったはずなのに、和くんの声はだんだんと低くなっていく
「なにそれ」
そんな和くんの声に、私は誤魔化すようにジュースを一口流し込む
「…だから、持って帰るくらいなら食べてもらおっかなーって思って」
「…あっ、ごめんなさい、あまりものみたいな感じでやだったら断ってくれて大丈夫です、」
少し異様な空気が流れたことに気がつかないふりをしながら捲し立てる私は、「…そしたら持って帰ります」と小さな声で続けた
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りん(プロフ) - ぱなおさん» メッセージいただいたら書くしかねぇ!ってなりました!この小説はサクッと終わる予定なのでサクッと書きますね笑最後までお楽しみいただけたら嬉しいです! (2021年4月5日 9時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - りんさん» わー!!返信嬉しいです、更新もありがとうございます( ; ; )いつまでも待ち続けますので無理せずに更新してくださいね!!( ; ; ) (2021年4月5日 0時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ぱなおさん» ぱなおさんありがとうございます( ; ; )最近リアルが鬼忙しくて投稿が滞っておりますが、終わる気はさらさらありませんので頑張って書きます!!これからもよろしくお願いします( ; ; ) (2021年4月4日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - 最高すぎて一気読みしました!!続き待ってます( ; ; ) (2021年4月4日 1時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2021年3月4日 11時