76話 ページ27
午前の授業が終わり、少しお腹が空くにおいがたちこもった教室で
私もうららとお弁当を広げながら楽しく談笑をしている
「はい、これチョコ!」
「ありがと、これ私も」
相変わらず仲のいいうららからは美味しそうなチョコを受け取り
そんな私は小さな袋に詰めた生チョコを渡した
ご飯の前だというのにお構いなしにチョコレートを口に放り込んだうららは「おいしい〜」と幸せそうに笑う
そんな姿を見て、なぜか私はすこし真ちゃんを思い出して胸が痛くなった
渡さないと、そう思ってもうまく勇気が出ない
たったチョコレートひとつなのに
どうしてこんなにも思い詰めてしまうのだろう
私も口に入れたうららのチョコレートが口の中で溶けていくと同時に、何か苦い思い出が心に刻まれていく感じがする
5限になっても、6限になっても廊下で見かけることすらなかった緑間先生は
今年も誰からもチョコレートを受け取らなかった…と、クラスの女子が噂していた
先生は相変わらずすごい人気で、緑間先生のためにとわざわざ遠くまで買いに行った子もいたらしい
周りにはチョコレートアレルギーだとか、彼女がいるとか
そんな噂ばかりが流れていて
やはり去年もらってくれたのは本当に奇跡だったんだなとかみしめる
もし、去年言っていなかったら
もし、…今年伝えていたら
…卒業したら、私をちゃんと女の子として見てくださいって言ってたら
私は卒業しても真ちゃんと一緒に笑っていられたのだろうか
真ちゃんは私に、私を好きだとか余裕のない姿は全く見せないし
私が他の男のものになっても慌てる素振りなんてないし
逆に私が突き放しても何も態度変わらないし
そんなところが大人すぎて心から嫌いだ
私のこと好きじゃないなら、優しくしないでほしいし
彼女早く作って結婚してしまえと思う
真ちゃんはきっと幸せそうな顔もせず、当たり前のように「結婚したのだよ」ってつぶやくんでしょ
知ってるよ、だからはやく幸せになってよ
いつもより少し甘い匂いのする教室が
今日はとても目に染みる
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りん(プロフ) - ぱなおさん» メッセージいただいたら書くしかねぇ!ってなりました!この小説はサクッと終わる予定なのでサクッと書きますね笑最後までお楽しみいただけたら嬉しいです! (2021年4月5日 9時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - りんさん» わー!!返信嬉しいです、更新もありがとうございます( ; ; )いつまでも待ち続けますので無理せずに更新してくださいね!!( ; ; ) (2021年4月5日 0時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ぱなおさん» ぱなおさんありがとうございます( ; ; )最近リアルが鬼忙しくて投稿が滞っておりますが、終わる気はさらさらありませんので頑張って書きます!!これからもよろしくお願いします( ; ; ) (2021年4月4日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - 最高すぎて一気読みしました!!続き待ってます( ; ; ) (2021年4月4日 1時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2021年3月4日 11時