52話 ページ3
午後の練習では、わたしの作曲を邪魔しないようにとメンバーは他の教室に移動してくれた
いつもみんなで座っている地面も、散らかっているから狭いはずなのに一人には広く感じて
そんな雰囲気に浸りながら私は静かにピアノで音を確認しながら楽譜に書き起こしていく
「〜♪」
こうやって一人で音楽に浸っている時間が好きだ
色々と嫌になってしまいそうな人間関係から解放されるような感覚に陥ってしまう
「〜♪」
ハミングして、ペンに持ち替えて書き起こして
少し作曲に集中していたら、誰もこないはずの音楽準備室がガラリと音を立てて開いた
ふとその後に驚いて振り向くと、そこには同じ軽音部の彼が立っていて
彼は私の目が合うとすぐに私の元へ足を運ぶ
「曲書いてんの?」
彼の足音を聞きながらもう一度コードを鳴らして
「そー、」
返事をしながらペンに持ち替えて楽譜に書き込んだ
気がつくと彼は私の後ろに座っていて
準備室に転がっている教科書の表紙をぺらっとめくる
「よくここって分かったね」
私がそう呟くと彼は「あー、Aのメンバーに聞いた」と笑いながらつぶやいて
私はそんな彼の笑顔も確認しないまま曲作りを再開した
「ん、なんか用事あった?」
私の質問に、彼は「あ、そうそう」と声を漏らしながら教科書を適当にめくっていた指を止める
「旅行行ってさ、お土産渡しに来た」
そしてそう口にすると、彼は自分のカバンから缶を取り出し立ち上がり、私に差し出した
私は思わず鍵盤に触れていた指を離し「…ありがとう、」と声を漏らしながら彼を見上げる
一瞬彼と目があったと思ったら、菅原の視線は横にあった私の楽譜に吸い込まれていった
「Aのグループ、作曲してたのAだったんだな」
「そんな大層なものではないですが…作らせてもらってます」
彼の感心した声に少し恥ずかしくなり声が小さくなる
そして私は、再開しようともう一度鍵盤に手を触れた
彼氏が横に立っている中で作曲なんて、超青春じゃん
そう意識していたのに踊らない心臓に私はまた息苦しくなった
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りん(プロフ) - ぱなおさん» メッセージいただいたら書くしかねぇ!ってなりました!この小説はサクッと終わる予定なのでサクッと書きますね笑最後までお楽しみいただけたら嬉しいです! (2021年4月5日 9時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - りんさん» わー!!返信嬉しいです、更新もありがとうございます( ; ; )いつまでも待ち続けますので無理せずに更新してくださいね!!( ; ; ) (2021年4月5日 0時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ぱなおさん» ぱなおさんありがとうございます( ; ; )最近リアルが鬼忙しくて投稿が滞っておりますが、終わる気はさらさらありませんので頑張って書きます!!これからもよろしくお願いします( ; ; ) (2021年4月4日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - 最高すぎて一気読みしました!!続き待ってます( ; ; ) (2021年4月4日 1時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2021年3月4日 11時