65話 ページ16
「…おいっ!スマホ持ってるやついるか?」
少し落ち着いた菅原の背中を押さえながら聞いたことないほどの大声を上げた緑間先生に
私と同じグループのメンバーが背中をビクッと振るわせる
震える手でポケットからスマホを出し、持ってます、と返事をした彼女たちに
先生は「救急車!!」と叫んだ
その言葉に事態の深刻さを改めて実感して
わたしはやっとの思いで顔を上げた
「…大丈夫、です、」
「大丈夫なわけあるか、」
苦しみながらも声を出した菅原を少し心配しながらも
ふと思い出したように私の方を見た緑間先生は
私のほんの少し赤く染まったセーラー服を見て、
勢いよく菅原の方へと再び顔を振る
「お前が刺したのか!?」
そう声を荒げる緑間先生に、菅原はふるふると首を振って
「…俺が、カッター持ってたアイツ殴って、その反動で…Aにあたって」
と柔く動く唇でそう呟くと、「…そしたら、アイツが俺のこと殴ったんです、」と続けた
それを聞いた緑間先生は血相を変えて立ち上がり
私の横で同じくお腹を押さえてうずくまる男子の前にいわゆるヤンキー座りをして口を開いた
「…お前、どういうつもりだ」
その顔は、私も今まで見たことがないほどに怒りに満ちていて
野生の男としてのオーラを感じてしまうほどに威厳なオーラを放っている
そんな姿に不意に私はときめいて
その瞬間に目があった緑間先生は、私のそばで私を心配してくれていたメンバーを見て私の元へ駆け寄るのをやめた
「おい、菅原」
そして少し息を含んだ怖い声を出した緑間先生は
静かに立ち上がり、小さくため息をついて
「お前がこいつらと手を組んで高尾を呼び出したことはわかっている」と口を開いた
「大切にできないならお前に彼氏を名乗る資格はない」
私の前に立ち、視界には先生の長い足と感情がぐちゃぐちゃな顔をして見上げる菅原の顔が見えて
わたしは何故か緑間先生に守られているという錯覚を起こした
もう一度好意を再確認させるようなその紳士的な言葉がわたしの体全体を駆け巡り
流れそうになった涙を隠すように私は下を向いた
わたしを心配する声と、もう事を起こしてしまった以上何もすることのできない放心状態の2人を見守る中
救急車のサイレンが聞こえるまで
ただひたすらに時計が1秒ごとに冷たい音を奏でていた
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りん(プロフ) - ぱなおさん» メッセージいただいたら書くしかねぇ!ってなりました!この小説はサクッと終わる予定なのでサクッと書きますね笑最後までお楽しみいただけたら嬉しいです! (2021年4月5日 9時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - りんさん» わー!!返信嬉しいです、更新もありがとうございます( ; ; )いつまでも待ち続けますので無理せずに更新してくださいね!!( ; ; ) (2021年4月5日 0時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ぱなおさん» ぱなおさんありがとうございます( ; ; )最近リアルが鬼忙しくて投稿が滞っておりますが、終わる気はさらさらありませんので頑張って書きます!!これからもよろしくお願いします( ; ; ) (2021年4月4日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - 最高すぎて一気読みしました!!続き待ってます( ; ; ) (2021年4月4日 1時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2021年3月4日 11時