夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ21)

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赤とんぼ４ページ21

雅「ゴホッ！ゴホッ！！」

翌朝、雅紀は高熱を出した。
側には、小学校にあがったばかりの双子の弟達がいるだけ。
結局、昨晩兄達は帰って来なかったのか、朝から姿を見ていない。

和「まー兄？だいじょうぶ？」
雅「…大丈夫。ほら、うつっちゃうから、和と潤は部屋から出てな。…ゴホッゴホッ！！」
潤「まー兄！」

先ほどから咳が出始め、止まる気配は無い。

雅「ゴホッゴホッ！！」

夕方になり、熱が上がり始めたのか、顔が先ほどよりも赤く、止まらぬ咳のせいなのか目は涙目でうつろ。
そんな兄の様子を見て、和也と潤は不安に押しつぶされそうだった。

和「…ぼく、さとし兄ちゃんとしょう兄ちゃんを、さがしてきます。」

静かに和也が呟いた。

潤「それなら、ぼくがいく。かずはまー兄のそばにいて！」
和「だめ！じゅんくんがそばにいて！」

雅紀と双子は、夕方暗くなってから外に出るのを、両親にきつく禁止されていた。
なので、兄達を探しに外に出るということは、その約束をやぶることになる。

潤「だって、くらくなったらそとにいっちゃダメって、いつもとうさんとかあさんがいってるじゃん。」
和「うん、だから、ぼくがいきます。おこられるのは、ぼくだけでいいんです！」
潤「なんで、だめ！ぼくがおこられるの！」
雅「ゴホッゴホッ！！！」

二人は口を噤んで、雅紀の顔を覗きこむ。

和「…じゃぁ、いっしょにいく？そしたら、おこられるのはんぶんこできますよ？」
潤「…そだね。はんぶんこなら、おこられてもだいじょうぶだもんね。」

小声の会話は、雅紀には気付かれていないようだった。
和也と潤は、静かに立ち上がり廊下に出る。
浅い呼吸を繰り返している雅紀の背に「いってきます。」と小さく残し、ドアを閉めた。