In the interspace of world and world

O ページ48

「…何しに来たんですか？」


無駄に広い豪華な造りの建物。

まさに神様が生活するに相応しいともいえるこの空間。


少しうっとおしげに、
けれど軽蔑と優越感が混ざった声音と口元。

面でほとんどの表情が見えないけれど、
おいらにはその感情が手に取るように分かった。


「…ああ、あの人間は生きてましたか？
可哀想に、妖の世界なんぞに引きずり込まれて不運な人間ですね」


からから、とまるで馬鹿にしたように、
潤の命なんてなんとでもないようにあいつが笑った。


ふつふつと沸き上がる怒りを必死に抑えて
おいらは奴に向き直る。


「…仕事、始めるためにきた」


おいらの言葉に奴がくすり、と笑う。

自分のシナリオ通りにおいらが動いたことに
相当満足してるみたいだ。


「それはそれは。
あの人間もそんなに思われてさぞ幸せでしょうね。
それだけの価値があれにあるとは私は思いませんが」


人間に対する侮辱。

自分たち神が何よりも高貴な存在であると信じ、
下等の者はどこまでも見下す。
それが当たり前だと信じてやまない考え。


「…けど、守るモンはおいらが自分で決める」


ぴく、と奴の口元が微かに動いた。


「おいらが仕事として守るのは、人間の潤。
…それとその周りにいる一部の妖だけだ」




おいらの周りにあるちっぽけな世界。

守るのは、おいらが決めたそれだけで充分だ。

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