In the interspace of world and world

J ページ22

「潤、お前が俺らを
傷つけないように必死なのと同じで
俺らもお前を傷つけない。
…俺らに、潤を終わらせるなんて選択肢ないんだ」


「…っ」



「…そういうこと」


ぐらぐらと揺れる視界の端で巨大な火柱が上がる。

途端に再び掌に集まりかけていた妖力が消えて
ふっ、と身体が少しだけ軽くなる。


…あ、俺の影がショウの炎で消えて……


「二度も俺らに同じ手が通用すると思うなよ？」


操る俺の影を失ったインブルに
ショウがぱっ、と向き直る。


「この…！」


目に怒りの色を灯すインブルが声を荒げた瞬間、
サトシが俺らの傍にひらりと舞い降りて
手早く俺らを包み込むように結界を張った。


「…っ、マサキ！」


結界に匿われたショウが声を上げて。


ざぶん、と大量の水が
俺らを飲み込むほど押し寄せてきた。


ぐねぐねと生き物のように動く水流が
限界ごと俺らを飲み込んでインブルに迫る。


「カズ！」


後ろからマサキの声が響いて
待ってろ、と俺に言い残したカズが
俺をサトシに預けて結界の外に飛び出した。


ものすごい速さの波に乗って
真っ直ぐにインブルに向かっていくカズ。

波に揉まれているインブルは
カズが自分に迫っていることに気付かない。


荒波の中、ぶん、とカズが大鎌を振り上げて。



インブルの断末魔さえ、
荒れ狂う水流に飲み込まれていった。

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