吸う ページ2
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俺は清水将企という名前がある。
けれども
「リリー課題やった?」
「リリー今日飲むけど来る?」
「リリーコンビニ行かへん?」
なんで?今日、俺、リリーて呼ばれてるんやけど。
「あー、なんかあれ、リリーフランキー似てるって、昨日飲みん時話してて」
モリシはケラケラ笑ってなあ?って他の奴に同意を求めていた。
リリーフランキー似てんのどっちかって言うたらお前やろとも思ったけども、なんとなくリリーというあだ名は気に入った。
盛山も盛山でモリシって最近呼ばれてる。
少しずつ同期が距離感が詰まっていくのが、大学入った時とかみたいでなんだか懐かしい。
すると、盛山、改めモリシは席を立つ。
「タバコ?」
「おん、リリー吸わへんっけ」
「俺は吸わんけど」
「喫煙所コミュニティ強いで」
確かに。大学でも喫煙者はなんとなく喫煙所で輪ができてて、たまに羨ましいと思った事がある。
「俺も行こかな」
「いこいこ、吸わん奴全然おるし」
モリシの馬鹿でかい背中について行くと2階のトイレの横の曇りガラスの扉、開くと小さなバルコニーみたいになっていて置き型の灰皿が二つとささやかなベンチが置いてあった。
「今日はなんか基礎とかやる言ってたけど」
お笑いの基礎とかなんか笑えるな、とモリシはタバコに火をつける。
何度も吸って俺には合わんって毎回なるけど、コイツはめちゃくちゃ美味そうに吸うから
「モリシ一本」
と言ってみた。
喫煙者って何故か吸う奴にはケチるのに吸わんやつがこう言うとめっちゃ喜ぶ。モリシも例外でなく「お、ええよ」とニコニコして箱ごとライターと一緒に手渡す。
「俺の10mmやから結構重いで」
「んー、うわ、良く吸えんな」
火をつけて一口吸えば、久しくこのニコチンを摂取していない俺の身体は完全に拒否反応を起こした。
海馬の辺りがキュウッと収縮してくらくらする感覚。いわゆるヤニクラ。
あー、こんなんやった。ともう一度試しに吸えば
今度は気管に入ってゴホゴホと咽せた。
「あーあー言わんこっちゃない。」
「っ…ゴホ、やっぱ、俺無理やわタバコ…」
一回咽せると咳は止まらなくてかなりダサいような気になった。無理に咳を止めようとしても無理でゴホゴホと咽せ返っていると
ギイ、と喫煙所の扉が開いた。
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作者名:ぴぴ | 作成日時:2023年3月13日 14時