【男主】イタミシラズ【東京喰種】

12.帰途 ページ12

_______…

A)……ぁ……？

気がつくとAは知らない車の後部座席に居た。

後部座席の中央に置いてあるクッションに頭を乗せ寝ていたらしい。
心地…いい…。

少しの間クッションに顔を埋めてから、ふと顔を天井に向けると、そこにはマスクをとったMMがAを見ていた。


A)！ …ぁ…MM様、でしょうか？


素顔を知らないため確証は無いが、見覚えのある整えられた綺麗な紫の髪でMMだと認識した。

初めて顔を見たが、想像していたより若かった。
まだ大学生くらいだろうか。


MM)あぁとも、少しは疲れがとれたかい？

A)は、はい、… すみません。

車窓から見える外は暗く、車に置かれている時計を見ると既に深夜0時を越していた。


A)MM様…あの…

MM)月山習。

A)え…

月山)僕のフルネームさ。 好きに呼んでくれていい。

…

この場合どう呼べば…？

A)しゅ…

いや名は駄目かな、姓にすべきか。

A)…月山さん、月山様？……習さん？

どう呼べば良いか分からず考えた呼び方を呟く。

月山)…最後ので良いよ、その呼び方された事ないしね。
君の名前を教えてくれまいか？


A)…A、です。


月山)ふぅん…良い名前だ。
フルネームは？

Tell me…とよく分からない言葉を囁き、月山はAの返答を待つ。


A)…分かりません…


月山)…Why？


A)ぇ、ワイ？


月山)non…伝わらないみたいだね…、何故？と聞いたんだよ。


A)すみませ…。 何故かは、分かりませ、ん。
かなり昔にあの人…サエギリにさらわれて…その時につけられた名前なんです。

だからこの名前は本名ですら無いんです。


月山)そうなんだね。
全く……困った方だね、サエギ氏は。


A)…あの、サエギリ、は…


月山)ああ、説得して大人しくなったさ。
そういえば気を失っていたんだったね。

現在の状況だけ端的に言おう。

…君は、僕が所有権を受け継いだよ。





……………………え？

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