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第四十話  主人公side ページ10

学校に着いた。

なんだか、いつもより騒がしい。

ぼーっとしていると、征十郎がぐいっと私の腕を引っ張った。

さっさと行くぞ、そう言っている。

それに逆らわず身を委ねる。

「僕はここで。また放課後、迎えに行く」

「うん。ありがと、征十郎」

少しだけ微笑んだ征十郎は自分の教室に向かった。

「…さて、私も行かなきゃ」

階段を上り、教室の扉に手をかける。

パシッ

誰かに腕を掴まれた。

ふと、見上げると、そこには…玲央がいた。

「…ちょっといいかしら」

昨日と違う怖くて、低い、声。

「ごめんなさい。私、行かなきゃ」

「いいから来て」

ぐいぐい引っ張っていく彼は恐ろしかった。

私の知っている彼ではなかった。

ガラガラ、ピシャン

入った部屋は学習室。

普通の教室と同じように置いてある机と椅子。

「…ねえ、キスマーク(それ)なに?」

「……関係無いでしょ?じゃ」

冷たく言い放つと、私は教室に戻ろうとした。

けど、

ドンッ

玲央にそれを阻止された。

壁側に押し付けられている。

「男を舐めるのもいい加減にしておけよ?」

ゾクッ

私は背筋が凍った。

お父様や征十郎と同じナニカを感じた。

恐ろしい威圧感。

決して玲央()が私に向けなかったそれだった。

「や…!離して!」

玲央の胸を思いっきり押したが、びくともしない。

男と女の力の差。

決して埋められないそれ。

「……んっ」

「!!んっ…やぁ…」

強引に貪るようにキスをする玲央。

どんなに拒否してもやめてくれない。

こんなこと、無かったのに…!

キーンコーンカーンコーン

無情にも鳴るチャイム。

それでも貪り続ける玲央。

口の中で絡まりあう舌。

酸素が足りなくなってくる。

ボーッとする頭て逃げる方法を必死に考えた。

ぐるぐると考えが頭の中をまわる。

「…っぁ、」

「はぁ、はぁ」

ようやく離してくれた。

「最低…!」

そう叫ぶと、また壁に押し付けられる。

「…貴方が悪いんでしょう?」

首もとに顔を埋める玲央の舌がペロッと舐めた。

そして、

チクッと、昨日たくさん感じた痛みが襲ってきた。

いくつも、いくつも。

重ねるように、征十郎と同じ場所に。

「私も男なの。我慢も限界があるのよ。それを覚えておいて」

そう言って髪にキスをして玲央は学習室を出ていった。

「……ごめん、なさい。れ、お」

その場にぺたん、と座り込んで溢れてくる涙を拭いながら声を押し殺して泣いた。

第四十.五話  実渕side→←第三十九話  主人公side



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中原アリス(プロフ) - レオ姉イケメンや……今なら二択を迫られたら迷わずレオ姉を選ぶな…… (2017年9月11日 20時) (レス) id: aac9caa2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろ(プロフ) - レオ姉結婚しy…(萌死 (2017年7月11日 0時) (レス) id: 2473bf1189 (このIDを非表示/違反報告)
- レオ姉かっこよすぎ! 更新、頑張ってください!! (2016年6月12日 0時) (レス) id: 9ec21b3204 (このIDを非表示/違反報告)
栗医務 - レオ姉クッソイケメンやん (2016年4月7日 1時) (レス) id: 7f3a485f4b (このIDを非表示/違反報告)
海霧 - レオ姉めっちゃイケメンやな!更新頑張ってください!! (2016年3月29日 20時) (レス) id: 7514f47884 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:幸村美咲 | 作成日時:2015年8月23日 5時

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