好きの想いは永遠に。【探偵チームKZ事件ノート】

恋のキューピット。 ページ9

翼の照れた表情が、脳裏に蘇る。




私の知らない翼。




それを、立花さんは知っているんだ。


私が何も喋れずにいると、それを救うかのようにチャイムが鳴り響いた。



＊


授業中も上の空で、立花さんの言葉が頭から離れずにいた。

これからの翼を知るのは立花さん。

でも、翼を想う気持ちは変わらない。

だって、私の初恋なんだよ。

何としてでも付き合いたい。


・・・そう思ったって、いいでしょ？


ボーっとしていると、先生と目が合ってしまった。

「よし、加藤、この問題解いてみろ。」

嘘、何も聞いてなかった・・・。

『あの、分かりません・・・。』

「嘘ー。めっちゃ簡単じゃん。」
「だよねー。」

周りから聞こえる言葉に、耳を塞ぎたくなる。

仕方ない、授業聞いてなかったんだもん。

目が合ったのも、たまたまだし。


「じゃあ、他に出来る人。」

どうせ、さっき簡単だって言った人が手を挙げるかと思ったのに、その子は手を挙げなかった。
簡単だって言いながら手を挙げないなんて、卑怯者。

私は、ビシッとその子を睨みつけた。

気づかなかった様だけど。

手を挙げたのはたったの一人。

「よし、川村。答えてみろ。」

川村さんは、立花さんの事を応援している人。
夏祭りに立花さんと翼を誘ってくっ付けた、言わば恋のキューピットという噂。
その割には、川村さんと立花さんが仲良くしている所は、見たことないけれど。



つまり、川村さんは私の敵って事。


２人をくっ付けた恋のキューピットだなんて・・・憎たらしいなぁ。







もし川村さんがいなかったら、翼は私の物だったかもしれないのに。

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